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2011年6月26日日曜日

日本人が海外に出て行きたくない理由

 現在世界的アーティストのレディー・ガガ氏が来日して様々な復興支援活動に参加してくれておりますが、やはり日本人として彼女の活動には頭が下がる思いがします。今回の支援活動においてレディー・ガガ氏は何度も日本が大好きだと言ってくれていますが、彼女に限らず海外の有名人の方には映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏などのように日本を贔屓にしてくれる方が少なからず存在します。これまた日本人の私としては、「そんなに気に入ってくれるなんて(∀`*ゞ)テヘッ」などと照れる気持ちがするのですが、このところこうした日本贔屓の外人を見ていて、ひょっとするとここに日本人が海外に出て行きたくない理由があるんじゃないかと密かににらんでいます。

 近年、経団連の殴られたダルマみたいな顔した米倉会長を始めとして日本の若者が海外に留学したがらない、異動を嫌がるといったことを懸念する言葉を発していますが、結論から言うと、私は日本人が海外に行きたがらない理由は日本国内の生活があまりにも便利で快適過ぎるからじゃないかと思います。

 私がこの発想を最初に得たのは、友人とのある会話からでした。その友人によるとフィリピン人などは一刻も早く別の国に行って働きたがるそうなのですが、日本人はそうでもないと言うとそれはあなたの国が恵まれているからだと言われたそうです。確かに言われてみると日本の公務員は天下りこそあるものの不正は少なく、警察も外国ほど無茶はやらかしません。なおかつ市場に出回る製品も中国みたいに粗悪品は出回らず、生活も若いうちならアルバイトで一人暮らしが出来て、パソコンも買えればインターネットだってできます。よくネット上では日本の今の景気状態を嘆いてはこんな最悪の国はないという人がいますが、それでも他国、イギリス(飯がまずい)やフランス(街が汚い)などの先進国と比べても日本の状況はまだまだ優れたものだと断言できます。日本は老後の保証がないといいますがそんなのどこの国だって一緒で、中国なんか今の一人っ子の若者たちの老後を考えると他人事のはずなのに心配になってきます。

 その上で日本だけの特別な特徴を挙げると、隅々まで行き渡るサービスの細かさも見逃せません。海外に行ってみるとわかりますがあらゆる面における日本のサービスは神懸り的とでも病的とでも言うべきか、どうしてそこまでするのと思い知らされます。冷凍食品の種類の多さからコンビニでの予約と代理決済、定時通りの電車運行から商店員の態度にB2B取引の対応など、外国で暮らしてみると改めてその細かさや早さがどれだけ凄かったのかがわかります。
 敢えて逆に日本の方がサービスが悪いと思う分野を挙げると、敷金や礼金に加え保証人を求められる不動産業にいじめが絶えない義務教育などがありますが、それらを見越しても日本での生活は自分がネイティブであることを考慮しても快適の一言に尽きます。参考のために上海人の友人に来日直後は不便ではなかったかと聞きましたが、「コンビニに行けば食事などすべて事足りるから不便に感じることはなかった」とうまいこと言い切ってくれました。

 話は戻りますが、単純な問題として現下で快適な環境にあるのにわざわざ他の環境に行こうと思うでしょうか。それも外国となると言語面での不便は言うまでもなく食事や製品などの面で確実に日本での生活より苦しくなるのは間違いなく、生活費面ではどこの国でも確かにマシになるでしょうがそれだったら高いお金かけたいと思う日本人がいるわけで上海の日本食屋は成立するわけです。
 例の殴られたダルマみたいした米倉会長はハーバード大には中国や韓国からたくさん留学生が来ていると言っていますが、それは優れた研究環境というのが一番でしょうが、それとは別に彼らの国より米国という環境が住み心地がいいというのも大きな理由じゃないかと思います。韓国について言えば、そうでもしないと就職もし辛いという厳しい雇用環境もあるでしょうが。

 私は日本人が海外に出たがらない理由というのは、もちろん日本人が保守的とか内気とか言っても間違いではないと思うものの、その裏には日本での生活が世界最高峰なくらいに便利すぎるというのが最大の理由じゃないかと考えています。それゆえにレディー・ガガ氏を始めその文化や便利さに引き寄せられる海外の有名人も現れるのではないでしょうか。
 これを逆に言い換えると、日本人をもっと海外に出そうとするならサービスの質を下げるのが効果的なのではということになります。実際に私の体験でも、平気で私の前に別の客が割り込んできてもなにも注意しない店員とかを見てるとやっぱり日本はいいなぁとか思ってしまいます。あとちまちまやってはあっという間に長蛇の列を作る銀行とか。

 もっとも今更サービスの質を落とせといっても出来るわけないので、少数精鋭とばかりにまだ海外に行こうとする少数派の日本人をもっと行きやすく応援するようにした方が手っ取り早いと思います。もしくは日本に引き寄せられる外国人への対応を良くするとか。
 日本人にとって海外に行くということは、本当にごく一部の国を除いて生活の質を下げることにつながります。特に若者にとっては上から指示するだけの職位とか有り得ず、また私のような現地採用の人間は日本より低い給料に加え生活面での会社からの補助などありません。こういう状況わかって抜かしてるんだろうか、あのダルマは。

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