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2008年6月15日日曜日

新聞メディアを考える ~その二、新聞の実力~

 この連載を始めた昨日の今日で、今朝に毎日新聞が北海道地方での夕刊の配送をやめるというニュースが入ってきました。毎日は相当経営が苦しいとは聞いてはいましたが、ここまでとは思っていませんでした。

 そんなわけで、今日も前回に引き続き新聞メディアについて考察して行こうと思います。今回は新聞の実力についてです。
 現在、主要メディアとしては新聞以外にネット、テレビ、雑誌、ラジオ、マイナーどころでは無線や回覧板もありますが、そのうち新聞とネットとテレビと雑誌の四つを項目ごとに比較してみようと思います。まずは速報性ですが、それは以下の通りです。

 ・速報性
テレビ>ネット>新聞>雑誌

 恐らく、「ネットの方が速報性については早いのでは?」と考える人もおられるかと思いますが、私は確実にテレビの方が早いと思います。というのも、ネットで出回るニュースというのはすでに報道されたニュースしかありません。なぜならネット媒体は独自の取材機関がないため、ニュースを取材するテレビや新聞が報じて初めてネットにも情報が流れるので、必然的に、テレビ>ネット、となるでしょう。たとえば今回の東北地方の大地震のような大事件であろうとも、まず最初にテレビが報じてからネットも反応を示します。後の順番について、特に言及するまでもないでしょう。

 次に、取材力について比較しますが、それは以下の通りです。

 ・取材力
新聞=テレビ>雑誌>>>ネット


 ちょっとこれには悩みましたが、以上のような図になると思います。まず新聞とテレビが同じだと書きましたが、日本でテレビなどの放送免許を取得する際に、ニュースを提供する報道機関を持たなくてはなりません。この規定が日本でテレビ局と新聞社が同じマスメディアであるにも関わらず癒着を強めている原因だと非難する声が大きいのですが、これについてはまた今度考察します。ただひとまず言えることは、基本的にテレビニュースで流れる内容は仲間の新聞社から提供を受けた情報です。しかし中にはテレビ局が独自に集めた情報もあり、逆に新聞にしか載らない情報もあるので、ひとまず等号で結びました。
 その次の雑誌メディアについては、これはテレビによく出る勝谷誠彦氏が口をすっぱくしていっていますが、記者クラブに入れないのが大きく、敢えてテレビと新聞の下に置きました。記者クラブについては、ウィキペディアかなんかで調べてください。そして最後のネットについては言わずもがな、取材機関すらないので論外です。

 で、今度は娯楽性です。用はどんだけ読んでて面白いかってことで、それは以下の通りです。

 ・娯楽性
ネット≧テレビ>雑誌>新聞


 これもちょっと悩みましたが、最近テレビの視聴率がネットに食われているという話を聞くので、敢えてこの順番にしてみました。後は言うまでもなく、恐らく今の日本人にとって新聞は「お堅い」というイメージが強く、娯楽で読むなら雑誌の方が高いのではないかとして、こうしました。最近で新聞連載の小説で売れたのも、「愛の流刑地」くらいだし。なお、今回は一般紙を対象にしているため、スポーツ新聞は除外しています。あれ入れたら雑誌よりは上に行くかもね。

 次に、評論力について考えます。これはそのメディアが特定のニュースについてその内容の評価や次に起こるであろう事態を予想できるかで、ある意味メディアの心臓ともいえるべき部分です。例を出すなら、今後の国会予想とか、殺人事件の犯人探しについてなどです。

 ・評論力
雑誌>テレビ>新聞>ネット

 これは多少私の好みが入っているかもしれませんが、これくらいの順番かと思います。もちろん、批判は甘んじて受けるつもりでやってます。
 まず一位の雑誌ですが、なんだかんだ言ってこの分野ではピカ一だと思います。ほかのメディアと比べて速報性に優れないという欠点から情報を整理、分析することに特化した結果がこの長所でしょう。経済専門誌はもとより、私の愛読している文芸春秋や中央公論といった総合誌、芸能や犯罪ニュースについてあれこれ検証する写真週刊誌など、雑多な情報も多いですが状況に応じて雑誌を手に取ることがニュースを考えるのに最も良い方法だと私は思います。
 恐らくこう書くと、「新聞の社説を舐め過ぎじゃないか?」という指摘も来るかと思いますが、私がここ半年くらいで、「なるほど、こんな見方もあるのか」と思わせられたような社説にはついぞ出会えませんでした。というのも、各社揃い踏みで似たような内容ばかり、その上事態の上っ面しか書かれていないことが多く、深く内容を見通すには物足りないものばかりです。それならばテレビにて専門家の討論番組など見ている方が参考になることが多いです。ちなみに、私がよく見ているのはNHKの毎日11時半からやっている、「ニュース&スポーツ」の解説部です。単体で見るなら一番ここが参考になる情報が多いメディアです。
 ネットについて言えば確かに中にはいい評論もありますが、いかんせんその他の雑多な情報が多すぎて、要らない情報かどうかを峻別する作業を考えたら、やっぱり最低になるんじゃないかと思います。

 最後に、情報量について比較します。これも言うまでもなく、そのメディアがどれだけ情報をカバーできるかという点です。

 ・情報量
ネット>>>テレビ>新聞>雑誌


 これも、悩んだ末の順番です。まず一位のネットは言うまでもありません。グーグルで検索かけたら関連情報なんてアリのごとく出てきますし、掲示板を除けばニュースに対する反応まですぐに得られます。そしてその後の順番ですが、最近じゃ夕方のテレビニュースでもあれこれ特集するし、今回の地震の報道のようにもライブ中継を行えることを考えれば、テレビの方が新聞より情報量は上かと考えました。ま、雑誌に関して言えば、やっぱりページ数の都合もあることなので。

 以上のような感じで、比較を終えます。こうして比較してみると、まず新興メディアのネットは取材力という点では無に等しいものの、情報量ではダントツであることが目立ちます。それに対して今回槍玉に挙げている新聞はというと、取材力ではトップであるものの、ほかの分野では下位に収まっていることが多いです。雑誌も同様に評論力のみが高く、テレビは比較的どれも上位に入っているような感じです。まぁこんな感じで、次回の記事に繋げていきます。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 新聞は確かに衰退していくでしょうね。花園さんの記事をみてみてもそうだし、実際にネットやテレビのニュースをみれば大体の情報は手に入るという実感があります。
 また、テレビですが僕は個人的に好きではありません。というのも、あまりにも無責任な情報や、いらない情報ばかりを流しすぎていてテレビを見ること自体が無駄なような気がしてきます。その場合好きな番組だけをみればいいというようにいえるんですが、まだ自分の考えや価値観を養っていない子供に間違った解釈や、偏ったみかたを平然と掲示してくるのは、良くないと思います。そういう番組が多すぎる気がします。

花園祐 さんのコメント...

 私はあまりテレビを見なくなったので最近は番組に対して腹が立つことは減ってきましたが、逆を言えば見たくなるような面白い番組がないのが残念です。
 テレビもネットの出現でひとまずピークは過ぎたと思います。もっとも、あと十年はメディアの王様としてテレビは続いていくと思いますが。