今日になってようやく日中が東シナ海のガス田開発を共同で行う旨を政府が発表しました。まぁなんというか、少なくとも嘘をつかずに済んでよかったです。
さて今日は新聞メディアの連載をちょっと休んで、日本の農政について書こうと思います。まずタイトルの「猫の目農政」ですが、これはコロコロと変わる日本の農業政策を揶揄して言われている言葉です。
実際に日本の農政の方針は何度も変わっています。古くは米の流通自由化からですが、ちょっと今回の改正は致命的なところもあるのでその辺を詳しく説明します。
まず、大体2000年に入ったあたりでしょうか、何を思ったか農林省は、「日本の農業は土地規模の少ない零細な農家が多い。これらを統合して大規模集団農家にすれば、きっと効率が上がるはず」と言い出しました。当時にうちの親父なんか、「これからは農業も企業がやる時代だ」と言ってましたが、年をとってから私が思うのは、何をそんな適当な事をという事だけです。
この、「農業の企業集団化」というのは要するに、近くの農家同士で一つの経営団体を作り、農産物をつくって行くという事です。たとえば、2ヘクタールの土地を持つAさんと、3ヘクタールの土地を持つ隣のBさんが共同で農業をやっていくと役所に届け出て、それ以降は二つあわせて5ヘクタールの土地を使い、それまで別々に作っていた大根を一緒に作る……というような具合です。政府の言い分だと、大きな土地を集団で耕すのだから生産量も増えるはず。しかも集団で集まるのでまとまった資金も使えるようになり、トラクターなどの農業用器具も購入できるようになりみんなで万々歳だ、といってました。
そして大体二年位前からこの政策を実行に移して行きました。具体的にはこの農業を集団化する事を届けた場合、税制などの優遇するなどのエサをぶら下げ、農家の方々に自発的に集団化する事を誘導しました。しかし結果はというと、詳しくは調べてはいませんが伝え聞くところによると、全然届出がないらしいです。そして実際に集団化したところも、生産量にあまり変化が無いというらしいです。
それもそのはずです。農業というのは農家の方のモチベーション、つまり「やる気」が非常に大きな影響を及ぼす労働だからです。私自身農業を行っていないので強くは言えないのですが、やはり非常に体力のいる作業だと言われております。それでも、その労働が自分の収入に直結するなら、耕しているのが自分の土地ならば、といったやる気によって、生産量が大きく変わると言われています。実際に日本でも戦後のGHQの農地改革の際、それまで小作人ばかりであった日本の農家を土地を安く買い与えて自作農家に変えた事によって、飛躍的に生産量が伸びています。また中国でも作った作物が一時的に全部政府に取られていた共産主義経済時代に比べ、自由主義経済になり、一定量の作物を納めた残りは自由に売ってもよいという「生産責任制」を導入して以降に生産量が増加しています。
それが今回の集団化を行ってしまうと、やはり名義上は自分の土地ではなくなるのですからやる気も失せて当然です。さらに生産効率の面でも、日本人は土地が少ない分これまで熱心に狭い土地を耕作してきており、単位面積あたりの生産効率は世界でもトップクラスだと言われていますし、私もそう思っております。いわば、生産効率がほぼ限界に近いまで上にいるのに、日本より生産効率が全然低い、アメリカのやっているような農業の集団化を行ってどうして生産効率が上がるのか、非常に疑問です。
そんなんだからこの農家の集団化は失敗に終わりそうです。そうして失敗が見えてきた最近になり農水省は、「やっぱ、今のナシね」と言い出しました。何が不幸かというと、すでにタッグを組んで集団化をやっている農家の方々です。
なにも農政に限るわけじゃないですが、日本の政策はそれこそまるで猫の目の如く、コロコロ変えられてしまう政策が多すぎます。今回の高齢者医療制度も始まるや否や改正やら廃棄やら言い出す始末ですし、もう少し原則と言うものを持つべきでしょう。今度は医療の方でもやろうかな、この問題。
2 件のコメント:
今回の記事は、知っていることがたくさんあったので、分かりやすかったのですが高期医療制度って廃止になるんですか?
知ってることがたくさんあったって、さすがだね。後期医療制度は民主党は廃止すべきと法案を出しているけど、自民党は制度を一部改正で押し切ろうとしているし、これまで障害者自立支援法やリハビリ打ち切り法が批判がたくさんあったにもかかわらず未だ残っている事を考えると、恐らくこのまま残り続けると思う。
しかし言うまでも無いけど、初めてすぐ一部改正するような法案が、なぜ今まで無視されてきたのかが、一番問題でしょうね。
コメントを投稿