前回からの続きです。前回ではこの原油高の原因について、
・新興国の石油消費量の増加→
・ハリケーンカトリーナによる原油価格の急上昇→
・サブプライムローン問題による、原油市場への過剰な資金の流入
と分析しました。しかし、ここでいくつかの疑問があります。まず最期のサブプライムローン問題による影響ですが、ここで何故ほかの何者でもなく、過剰な資金が原油市場へと流れたのかです。企業株は低落の一方なので避けられるのはわかるとしても、現物市場ならほかにも金、小麦粉、鉄などほかにもいろいろあります。もちろん、今もなおこれらの現物も上がっていますが、それでも石油に資金が集中したというのにはっきりと合点がいきません。ただ単に当時に値段が上がっていたから、もしくは底が堅いから等といくつか推測できますが、この部分には未だ議論の余地があると思います。
そして最期に今後の予測ですが、結論から言うと今年いっぱいはこのまま上がり続けるのではないかと私は思います。
その理由というのも、このところの週刊誌の見出しなどを見ていると経済評論家などが知ったようなふりをして、
「今の原油価格の高騰は言ってしまえば実体はないのに過剰な投資が集まって上がっているだけという、いわばバブル景気的なものだ。そのためひとたび下がり始めるとかつての日本のバブル崩壊のように急激に下がるので、そこまで心配する必要はない」
というようなことを言っている記事が多く目に付きますが、確かに前半部の指摘はよくわかりますし、実際に今の状態は原油バブルという状況でしょう。しかし、そのバブルがはじけるきっかけになるのはほかでもなく、異常に集まった投資金が引き上げられなければなりません。しかし引き上げようにも世界経済はサブプライムローン問題で未だ不安定ですし、投資を呼び込むような新規産業の開拓のニュースもあまり聞きません。中国やインドの経済成長も、それぞれの政府がサブプライムローン問題にびびったのか、それぞれで金融引き締めの動きに出始めています。つまり、お金が余っているから原油市場に集まっているのに、未だにほかに分散する場所がないというような状況です。こんな状況で、果たして資金が引き下げられるでしょうか。
そして同時に、この原油高に歯止めをかけるために先進各国の首脳が石油産油国に増産を呼びかけていますが、巷に流れる情報だと、産油国としては値段が上がってた方が有利で、わざわざ自分から下げるようなまねはしないだろうという解説が多く載せられています。しかし先日にイランだったけな、呼びかけに応じて増産するというニュースが出ましたが、私の考えとしてはそもそも、増産したところであまり効果はないと思います。
というのも、石油が不足して価格が上がっているのならまだしも、現在は価格は高いものの求めればすぐに石油が買える状況です。たとえて言うと、売り切れにならないがよく売れる値段の高いケーキを余計にショーウィンドウに並べたところで、値段は下がらないというような感じです、強引かなこのたとえ。
ちょっと強気に出ちゃいますが、何故マスコミや評論家はこの点を報道しないのか疑問に思います。私はもちろん素人なので私の意見の方が間違っている可能性は高いのですが、どう考えても増産が価格安定につながるとは考え切れません。
以上のように、石油増産は価格安定にあまり効果はなく、かといって資金も引き上げられる要因も特にない状況が続きそうなので、原油価格は今後もしばらく上がり続けるというのが私の意見です。まぁ確かに一度下がれば急激に下がるというのはありうることですが、それもいつの話かということです。
最後の最後に付け加えると、私は日本の各石油会社は本当によく健闘していると思います。実際なら石油卸価格はもっと高くてもしょうがないと思えるのに、よくぞここまで値上げを最小限に食い止めてきたとと思います。なので今後も石油会社が値段を値上げをしても、私としては消費者は受け入れるべきだと思います。言ってしまえば、これまでが異常に安かったのだと思うべきです。
ま、こういえるのも、私が普段自動車に乗らずに自転車に乗っているからでしょうが……。
2 件のコメント:
【原油バブルのもたらす未来】
原油価格は、値上がり期待から、実態を無視して過剰な投資の対象とされている。そういう意味では、明らかなバブル現象だよね。バブルの定義にぴったり。マネーゲームと表現されるのもしょうがないよね。
花園君は、原油価格高騰の結果としてのインフレが、日本のデフレを解消するかもしれないと言及してるけど、現状ではデフレであることが日本の強みになっている。つまり、デフレが常態化している日本は、『世界的な原油価格高騰によるインフレ』に対する耐性がある。だから、他の国に比べてインフレによる国内経済悪化のリスクが低い(投資家目線から)。その結果、米国のダウ平均株価やナスダックの株価指数が暴落している中にあって、比較的日本株式市場は小幅な下落に留まっている。もちろん、日本のデフレ体質だけが原因じゃないけど(米国企業の決算発表が間近など)。
花園君が指摘するように、他に有効な投資対象が現れない限り、基本的に原油価格の高騰は収まらないと思う。一個人投資家としては、早期の原油価格下落(暴落)を待ち望んでいるけど、原油価格高騰はデメリットばかりではない。原油価格高騰によるガソリン価格上昇の結果、バイオエタノール燃料の採算性が見直され、実用化が促進されているという(出典:日経新聞)。このように、石油に変わる次世代代替エネルギー(以前はオイルショック以降の原油価格長期低迷により、コスト的に割高だった)の開発・利用が促進されることも期待できる(個人的には、ソーラーがお勧め。関電がんばれ!!)。
地球環境と今後の人類の未来のためには、むしろ原油価格300円時代の到来が待ち望まれる。ただ、庶民の生活は、代替エネルギーの実用化・一般化が完成を見るまでは苦しくなるだろうけど。それにしたって、これまで豊かな生活を享受してきたんだから、当然支払うべき対価と言えなくもない。現在発展途上の国には申し訳ないけど。
にしても、カトリーナのことはすっかり忘れてた。
このブログは問題提起をするのが目的で、ここで書くのもなんですが、結構いい加減な事も書いてたりするので、こういうコメント欄で補完してくれることは非常にありがたいです。継ぐ者さんの言う通り、デフレ下にあることで消費者生活が米が高騰しているマレーシアみたいに混乱しないという強みはありますね。
代替エネルギーについては、私はあまりソーラーには期待していません。ソーラーだと出力電力にやはり難があると思い、その代わりにメタンハイドレートと核融合発電に期待しています。どっちも、技術革新を待たねばなりませんが。バイオエタノールも、使用済みてんぷら油以外は食糧生産を減らすもので、あまりいいとは思いません。
しかし、継ぐ者さんと同じように、私も今回の状況を奇貨として新たなエネルギー分野を切り開くべきだと思います。
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