2008年8月9日土曜日

郵政民営化の是非を問う

 前回、竹中氏の評価について長々と書きましたが、肝心の郵政民営化については敢えて一緒に書きませんでした。その理由というのは単純に、あれだけ長く書いている上にまた長く書いても大変だという理由からでした。もっとも、この問題はいろいろ見る側面があるので、別個に分けて書くべきだとは初めから考えていましたが。
 そこで今回は、あの9.11選挙から三年近く経っていることもあり、おさらいの意味も込めて解説します。まずいつも通りに結論から言いますが、私は郵政民営化は必要だと、あの選挙以前からずっと考えていました。というのも、この郵政民営化は郵政事業にとどまらず、様々な問題の発信源となっていたからです。

 今回解説する上でポイントとするのは、民営化の賛成派と反対派のそれぞれの主張です。まず反対派の主張から説明しますが、やはり一番の理由に挙げていたのは「地方の切捨てになる」という点でした。民営化して利益重視の事業運営が行われると、地方の郵便局はどんどんと閉鎖されてその郵便局に頼っている地方との格差がますます広がってしまう、というような言質です。この主張は民営化の討論が行われている時点でも相当報道されていますから、多分皆覚えていると思います。

 もう一つの反対派の主張は、保険業についてでした。現在も一応続けられていますが、郵便局は簡易保険といって、審査の基準がゆるくて誰でも入りやすい保険を商品として取り扱っています。収入の低い世代などはこの保険に頼っている世帯も多く、もし民営化が実行された場合、真っ先にこの簡易保険が潰されると主張していました。
 そもそも、この民営化は簡易保険を叩き潰すために行われているというのが反対派の主張でした。彼らの言うところによると、あの悪名高き年次改革要望書(知らない人はぐぐって)によって、アメリカの保険会社を日本で儲けさせるためにこの民営化は行われたというのです。

 からくりはこうです。簡易保険がなくなることによって、無保険の世帯が大量に出てきます。そういった世帯に対してアメリカの保険会社が新たに保険商品を売って、儲けるというのが小泉政権やアメリカ政府が狙っていたというのです。保険というのはある程度先進国でなければ商売が成り立たないので、すでに成熟し切ってこれ以上のアメリカでは毛から利用がない保険会社が儲かる場所といったら、ほいほい言うことを聞いてくれる日本しかなかったというのが、標的になった理由です。その先兵として送り込まれたのが、例のアヒルで有名なアフラックとアリコです。友達が勤めておいて言うのもなんだけど。

 この反対派の主張は確かに一理あります。郵政選挙の前後、専門家たちはこの主張は非常に複雑で分かり辛いため、有権者達にはほとんど伝わらなかったのが彼らの敗戦の原因だと分析していました。しかし、私に言わせてもらうならば、報道面では選挙中、刺客候補ばかりが取り上げられて賛成派、反対派ともに政策面での主張はほとんど取り上げられず、選挙前はどちらかというと反対派の方がよく取り上げられており、「分かり辛い」という理由で伝わらなかったという指摘は当てはまらないと私は思います。むしろ、ほかの主張理由の説明に力を入れていたり、反対派の政治家の説明力不足が最大の敗戦の原因だと私は分析しています。

 これら反対派の主張に対して、賛成派はどんな主張をしていたのでしょうか。まず一番多く取り上げられていた主張は小泉元首相による、「民間にできるなら民間にやらせろ。その方がサービスもよくなる」という主張でした。別にこれだけならあまり説明することもないのですが、これに加えて選挙中に小泉元首相は、政府の財政赤字を減らすために公務員を減らさなければならなく、そのために郵便事業を民営化するのだと主張しました。これは一見、もっともらしく見えるのですが、郵便局で働いていた人間は公務員全体で見るならばそれほど多くなく、もし財政再建を目指すならばもっと大きくやらなければならないと、英字雑誌「エコノミスト」にて指摘されており、事実その通りです。

 ここで話はすこし外れますが、そもそもこの郵政民営化を小泉氏がやりたがったのは自身の報復のためだと言われています。小泉氏は父親の急死によって留学を切り上げて帰ってきて衆議院選挙に臨みましたが、それまで父親を支えてきた地元の郵便局関係者の組織票約5000票が小泉氏には回らず、そっくりそのままライバルの候補者へとついてしまったらしいです。結果は5000票の差で小泉氏は落選してしまい、事実上郵政票の裏切りにあって負けたに等しかったようです。もっとも、次回の選挙で初当選を果たしたのですが、この時の怨念が小泉氏を民営化へと動かしたという説が有力です。

 さて話は本筋に戻るや唐突ですが、「財政投融資」というのは皆さんご存知でしょうか。通称「財投債」と呼ばれるものですが、この資金の元はいうなれば我々国民が郵便局に貯金しているお金です。この貯金、まさかそのまま文字通りに「貯めておかれている」と考えているわけじゃないですよね。
 実はこの貯金というのはそのまま貯められているわけじゃなく、政府の一般会計、つまり用途が示されている予算とは別に特別会計という用途が示されない形で、様々なものへと使用されてきました。その主な用途というのはこれまた悪名高き道路財政、つまり道路建設へと主に使われてきました。もちろん、使った分は返済されることが条件なのですが、今までどれだけ使われてどれだけ回収されているのか、私はまだその詳しい内実を書いた報告書等は見たことがありません。

 この財投債、貯金好きの日本人をバックに抱えてるもんだから世界でも最大級の資金量を持っており、そんなにあるもんだから政府も無駄遣いに無駄遣いを重ね、これまで何度も指摘されていたにもかかわらずとめることができずにいました。それならば問題の根をたたけとばかりに打ち出されたのが、この郵政民営化で、私も小手先の改革では効果は望めないと考えていたので、郵政民営化を支持する第一理由としていました。

 さきほどに簡易保険について専門家らが、複雑で分かりづらいと言っていたことを説明しましたが、私の目から見るとこの財投債の存在と用途の方がよっぽど分かりづらく、また問題の根が深いと思います。それで考えたら、政策討論の国民への浸透については両者条件は同じだったのではないでしょうか。

 さらに言うと、賛成派の方が反対派の主張に対してきちんと対案、対策を出していたようにも思えます。まぁ口だけかもしれませんが、簡易保険は維持することを確約し、地方郵便局維持のために後年行われる株式の公開益3兆円を維持対策費に回すことを約束したりして、それなりに賛成派は答えは出していたのですが、逆に反対派は賛成派の民営化が必要な理由に対して、ただ反対するだけで問題の解決法を何も出していなかったように思えます。

 その代表的なものが、地方の郵便局にある「特定郵便局」の局員の問題についてです。この特定郵便局の局員や局長は基本的には世襲でした。世襲なので、そこの郵便局の人の子供はなんの条件もなく公務員となり、局員などをやってました。はっきり言いますが、反対派はこの制度だと地元との結びつきが強いとか言ってましたが、これは明らかに憲法に違反した制度です。世襲で公務員になれて、給料ももらえるなんて馬鹿げています。でもってこの制度を変えないと約束する代わりに、その政治家を支える組織票となっていたのですからどんだけ間違ったことをやってるのか。この間違っている制度も民営化によって廃止するという賛成派の主張に対し、民営化反対派はなんの対案も出しませんでした。そりゃ対策出したら自分の票田をなくすんだしね。

 財投債の問題も何の対案もありませんでした。こちらは道路利権とも結びつくので、考えるわけないでしょうね。
 以上のような理由すべてを分析し、私は民営化賛成派を支持するに至りました。案の定というか、書いてて疲れました_(._.)_

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