2008年10月24日金曜日

日経平均株価七千円台突入について

 連載の途中ですが、本日の日本株価の大幅な下落について急遽友人とメール会談を行ったので、ちょっとそれについての補足と今日の株価について解説します。

 まず本日日経平均株価は八千円台を切って終値でも7000円台という、十数年ぶりともいえる歴史的な安値を記録して取引を終えました。今回何故これほど日本の株価が下落したかというとその原因はまず間違いなく二つあり、まず直接的な引き金となったのがソニーの経営見通しの下方修正です。今期の世界的な大不況の影響を受けてソニーが今期の売り上げを当初見込んでいたものより大幅に少なくなるという予測から下方修正を行ったところ、このニュースが波及効果を及ぼして他の銘柄の株価も急激に下がったという見方でまず間違いないでしょう。そしてもう一つの株価下落の背景にある実原因、ソニーが下方修正するに至った要因はここ数週間の急激な円高です。

 前にNHKのニュースで報道されて私も以前の記事に確か書きましたが、何でも1ドルに対する円価が1円上がるごとにトヨタだと400億、ソニーだと40億円も売り上げが落ちることになるらしく、実は円高というのは輸出を主力としている企業、ひいてはそういった企業に頼りきっている日本からするとものすごい悪影響を与えるのです。
 なのでここで断言しても良いですが、今日明日の経済記事の一番の見出しが下がった株価のメディアは下で、上がった円価を載せているのは上です。実際、今私がYAHOOの情報を見ると何でももう1ドル=92円と、ちょっと前まで108円位だったということを考えると、トヨタはこの時点で6400億円の売り上げ低下といえることになります。実際にはこれ以上になること確実ですけど。

 今回株価が下がったのを順序だてて説明するならば、まずアメリカで金融危機が起こりドルの通貨価値が急激に下がりだし、比較的サブプライム問題の影響の少なかった日本の円価がまだ安定している通貨だと世界の投資家に見られたことにより逆に上がることとなった……というのが今日の事態に繋がったと見て間違いないでしょう。

 それでこの下落について友人は、「株価は全然実態を反映していないね」と言ったのですが、厳しいことを言うと、それは違って実体経済も今の株価並みにボロボロだというのが私の意見です。
 というのも、今の日本経済は完璧なまでに輸出頼みで成り立つように作られており、いざ海外、それも消費力の高いアメリカなどが駄目になると途端に一緒になって駄目になるような仕組みとなっており、それを挽回しようと思っても国内市場を放置してきた分、もはや取り返しがつかない状態となっているからです。

 これを細かく解説すると、基本的に経済というのはたとえ100の生産力があっても、50の消費力しかなければ結局50の経済価値でとどまってしまいます。日本は十年くらい前から国の経済体制を大きく改造し、大企業を優先して強くさせて生産力を限りなく上げていったのですが、その代わりに日本国内の消費力、つまり個人が持つお金の量をどんどんと減らしていきました。個人が持つお金の量が増えれば基本的に消費力というのは上がっていくのですが、日本政府は派遣雇用などで個人給与を減らしていき、企業もその政府の動きにあわせて非正規職員を増やすだけでなく残業代といった正規職員の給与までもどんどん減らしていきました。

 その結果、企業は支払う給与が減るのでその分を自社投資に回して生産力を増大させていったのですが、肝心の消費が国内ではそれに追いつかなくなっていきました。そこで政府は国内のかわりに、ガンガンと海外への輸出を誘導することによって消費を補っていく政策を行っていきました。実際うちの親父なんか知った顔して、「今の企業は海外に出ることなしではどこもやっていけない」とよく言うのですが、これは裏を返してみるなら経済のコントロール力、いわば日本経済の生殺与奪権をみすみす外国に握らせるも同然です。そして今実際に、日本企業はサブプライム問題で他国ほど影響は受けず、また金融機関の財務状況も非常に安定しているにもかかわらずここまで株価の下落が起きてしまっているのです。

 ちょっと込み入っているので、先ほどの生産力と消費力の変遷をちょっと図にすると、

    生産力 日本の消費力 海外の消費力
十年前 100   80     20
 今   150   50    100

 といったような感じです。やや極端な数字にしていますが、こんな具合に十年前と今は移り変わっていると考えてください。
 では日本はどうするべきだったか、輸出頼みに舵を切るべきではなかったのかという話ですが、私はあの失われた十年に海外重視に政策を打ったのは大正解だったと思います。しかしその政策をいつまでも続けたというのは、評価が難しいとはいえ結果的には失政だったと言えると思います。もし2006年のまだ日本全体で余裕が戻ってきたあの段階で国内の消費力増加に取り組む、具体的には派遣労働の禁止とか給与の底上げ、減税などさえ打っていれば、今の状況とはまた全然違ったものになっていたと思います。

 最後に、友人は今の状態は政治的な強権が発動されなければもはやどうにもならず、市場メカニズムに任していても解決できるはずがないと言っていましたが、後半は正しいのですが前半の部分は、私もそうあってほしいものなのですが、実際にはほとんど期待できないと思います。
 まず日本の今の麻生内閣はただでさえ解散を控えて不安定であり、その上今の経済混乱に対応できる人材が政治界にいるかとなったら非常に疑問です。田原総一朗氏はこの前のサンデープロジェクトにて、この状況下で中川昭一財務、金融大臣が切り盛りしていてよかったと誉めましたが、この人が具体的にどんな政策を打ち出そうというのかが私にまでさっぱり伝わってこないことを考えると、やはり力不足なんじゃないかなという気がします。少しうぬぼれもありますが。

 そして何より、前回G7、先進七カ国財務大臣会議にて歩調を合わせて持ち前の資金をどんどん流すと約束したにもかかわらず世界中で株価下落を下げとめられなかったことを考えると、日本程度の一国がいくら権力使ったところでどうにもならないのではと思います。
 じゃあどうすればいいかというと、ありていですが耐えるしかないというのが私の意見です。

2 件のコメント:

  1. 伊藤盛正を継ぐ者2008年10月26日 23:55

    耐えるしかないか。確かに。ただ、何らかの手立てを打つ必要はあるよね。株価対策だけを考えるなら、株を売る人を減らす方法を考えればいい。そうすれば、需給バランスで株価は上がる(又は下げ止まる)。
    現在の有力な売り手は二つ。一つは海外投資家(ヘッジファンド含む)。二つ目は、国内投資家(空売りしている連中)。一つ目はどうしようもないけど(彼らも売りたくて売っているわけではないからね)、二つ目は空売りを禁止すれば止む。麻生さん、今すぐ空売りを禁止してくださいよ。

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  2.  空売り規制ですか、ゲームの「いただきストリート」では「空売りの帝王」と呼ばれていたのに実はこの辺はあまり詳しくありません。

     投資家の二つの分類は間違ってないと思います。ただ私は以前の日本の株式は企業同士の持ち合いによって非常に流通量が少なく値下がりに底堅かったのに対して、現在は皆海外ファンド、率にしては八割方握られていたのではないかと考えており、国内でいくら規制したところでもはやどうにもならないと考えています。

     むしろ今の状況を何とかしようと考えるより、とことんまで駄目になった後、二度とこんなことが起こらないようにするためにはどうすればいいのかを考える方がいいのではというぐらい投げています。弊害こそあれども、私なんかは昔みたいに企業間で株式の持合を復活させるのも一つの手だと思います。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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