2008年10月29日水曜日

時価会計見直しについて

 今日友人、ってかツッチーから、「今、時価会計の見直しがされているそうですね」という直球メールが来たので、これは是非打ち返してあげねばと思うのでこれについてすこし解説します。

 詳しく会計学を学んでないで言うのもなんですが、企業は自分たちの持っている資産がどれほどの価値があるか年度ごとの会計報告で公開しなければならないのですが、その公開する価値というのは確かまだまちまちだったと思います。

 まず一般的に多いのは「簿価」という単位で、これはその資産の取得時にいくら払ったかという価格で、会計報告時には多分まだこれが主流で使われていると思います。しかしこれは以前から批判されているように実態にあっていない価格が報告されることが多く、たとえばの話で40年前に買った土地を簿価で書かれても、それ以後の物価の上昇を考えると果たして現在その簿価の価値どおりかといったらまずもってそんなことはありえません。
 最近でこういった価格の差異が大きく目立った例は確か2004年に起きた村上ファンドの阪神電鉄買収騒動の時で、阪神電鉄が持っている阪神百貨店と甲子園の土地の価格が数十年前の購入した際のまさにこの簿価で会計報告されており、もし仮にこれらの土地を売り出したり担保として銀行にかけるとしたらその簿価の数倍の資金が調達できると言われていました。恐らく、それは事実でしょう。

 こうした簿価に対して、会計報告する資産は実際の価値で報告する方が市場の透明性という観点からも望ましいとして取り入れられたのが「時価」です。これは簿価と違ってそのまんま、会計報告時の評価価格の事を指しています。たとえば100万円で買った証券が数年後の会計報告時に90万円に目減りしていた場合、簿価会計では取得価格の100万円と報告するところを、時価会計では90万円と報告しなければなりません。

 この時価会計は恐らくまだ株式のみで、詳しく確認はまだ取ってないのですが先ほどの土地などの不動産には適用されていなかったと思います。ですが21世紀に入ってからはアメリカの圧力の下で日本もどんどんと取り入れていき、その結果それまで株式持合いが続いていた日本の大企業連中からすると帳簿上の価格を急激に落とさねばならず、参照しているサイトによると以前に三菱電機はこの変更の際に250億円の黒字から140億円の赤字に転落したとまで書かれています。

 結論を言うと、私は時価会計の方がやはり望ましいと思います。というのも簿価ではやはり実体にそぐわない数字が並び、投資をする際にも企業の情報透明化の観点からも外部者に弊害が生じやすいからです。それこそ簿価で1000万円の株式資産を持っていると言うからその企業に投資をしたところ、実際にはその株はもう100万円程の価値しかなかったら大変なことで、業績は悪くとも資産があるから安心だと思っていたら突然その企業が倒産するということもあり、もしそうなったりしたら投資した方がそれは詐欺だと思っても仕方がないでしょう。

 また逆に資産価値をわざと低く見積もることによって、その資産にかけられる資産税を企業側は軽減することも出来ます。多分先ほどの阪神電鉄なんてそういう意図でわざと不動産価値を低く見積もっているのでしょうが、これなんか見ようによっては立派な脱税ですし、資本流通の促進という観点からもあまり望ましくありません。

 ちょっといろいろ参照したところ、この時価会計の導入に反対している人は結構多くいるそうです。その人たちの主張を見ると、時価会計にすることで実業で赤字を出しても時価の上昇を利益として計上することによって赤字隠しの粉飾決算が行われてしまうといった指摘をしており、有名な「エンロン事件」で破綻したエンロンもこの手法で赤字を隠していたそうで、納得できる真っ当な指摘だと私も思います。
 しかしそれを考慮しても、簿価会計では資産所有者の企業がどう見ても有利になるだけで投資家にとっても社会にとっても時価会計より弊害が大きいと思えます。

 ここでツッチーの振ってきた話になるのですが、

「時価会計見直し」論まで出る、サブプライムの痛手の深さ

 リンクに貼った記事によるとツッチーのくれた情報通りに、かつては日本に時価会計を迫ったアメリカがこの時価会計をやめようじゃないかと言い出しているそうです。その狙いは下がり続ける株価が企業の会計報告時に大きな損失額を計上し、それを見た投資家がさらに資金を引き上げる悪循環を生むから、といったあたりでしょう。
 しかしそれは記事の執筆者である山崎元氏の言うとおりに、経営者の失態隠しにしかなりません。もっともらしい事を言ってはいますが、恐らく時価会計をやめたところでこの株安が止まる事はないでしょうし、隠したところでその企業が倒産なんか起きたらそれこそ投資家がその損失をまともに被ることになるので、私も山崎氏同様にこの動きには絶対に反対です。

 自分で書いててなんですが、最近自分はまたアメリカ人っぽくなってきたなと思います。「孤独に強くあれ日本人」の記事でもそうですけど。

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