ページ

2009年7月5日日曜日

鳩山邦夫氏について

 昨日佐野眞一氏の講演会を聞いてきたばかりでちょうどいいタイミングなので、鳩山邦夫氏についての私の評価をここで書いておこうと思います。

 まず最初に佐野氏が昨日の講演会にて話した邦夫氏(兄の鳩山由紀夫氏と分けるため便宜上以後はこの表記を使います)の話を紹介します。佐野氏は率直に、邦夫氏については非常に頭の賢い人物だと評しました。これはウィキペディアでも書かれていますが高校時代の全国模試では毎回全国一位で、本を一回読むだけで内容を暗記するなど秀才ぞろいの鳩山家において邦夫氏は特に抜きん出た知力を持っており、そのせいか兄の由紀夫氏からは嫉妬にも似たやっかみをもたれていると言っていました。これについては他のソースからも同じような情報はいくらでも手に入るのでほぼ確実と言ってよく、その上で佐野氏は過去の死刑議論についての鳩山氏の方法を内容の評価はともかくうまいやり方だったと褒め称えていました。

 その死刑議論というのは鳩山氏が去年に法務大臣を務めていた際に死刑確定囚を一挙に執行し(この中には宮崎勤も含まれる)、その上で刑が確定から一定の年月を過ぎたら自動的に死刑が執行される必要があるのではということをベルトコンベヤ式という表現で発言したことが当時に大きく議論を呼びました。朝日新聞に至っては邦夫氏は「死神」とまで呼んで、邦夫氏の方もそれにマジになって反論するなど一時白熱しましたが、私はというとこの時の邦夫氏の発言は内容はどうあれ議論の端緒を作った意味で高く評価しています。

 簡単にその理由を説明すると、死刑はその内容ゆえにやはり表立って議論しづらい問題です。特に判決から執行されるまでの時期については法務大臣の認可が必要と言うこともあってこれまで曖昧にされ続け、明確なルールが無いままいわば時の法務大臣の恣意的な判断に負うところが多かったのが事実です。死刑とはいえ刑が確定したにも関わらずそれが実行されないことについて、果たして法の正義はどこにあるのか、それであれば終身刑にすべきではという議論が専門家の間ではあったものの国民の中ではほぼ皆無といっていいほどにありませんでした。私はこの死刑という問題は国民も含めて議論する必要があり、そうした議論の波を作る目的であのような発言をしたのであればいろいろと納得が出来ますし、佐野氏が評価した点もそこにあると思います。

 その一方、私の中で邦夫氏の評価を下げさせた事件というのはちょっと前の「草彅剛、裸になって何が悪い事件」です。これはうちのお袋が言っていたことですが、事件が起きた直後に地デジ移行のイメージキャラクターを草彅氏がやっていたということもあって激しく怒って、「最低の人間だ」とまで揶揄したのですが、ジャニーズファンなどからのこの発言に対して激しい抗議が起きるや翌日には「言い過ぎた」とすぐに発言を撤回して謝罪したことについて、背筋のしっかりしていない人間だと別にジャニーズファンでもないお袋も怒ってました。
 私としても「最低の人間だ」などという激しい表現を使うのはどうかと思ううえに、慎重な発言が求められる政治家にも関わらずすぐに発言を撤回するなど言語道断だという気がします。これに限らず自らが総務大臣を辞任するきっかけとなった日本郵政の社長人事問題においても何度も「正義」という言葉を使って、麻生首相も発言が軽いですが邦夫氏も負けず劣らず非常に発言が軽いように思えます。だから二人とも馬が合ったんだろうけど。

 上記の事例以外にもいろいろと評価する点はあるのですが、結論を言えば私は鳩山邦夫氏は政治家には明らかに向いていない人間だと考えています。確かに当意即妙に切り返す力や独特のユーモアは高く評価していますが政治家にとって致命的過ぎるほど発言が軽すぎており、評論家などの外部から政治的発言をする立場ならともかく実権を持って動かす人間ではないと思います。本人は政治家が自分の天職と思うほど政治が好きなようですが、もうすこし自分の適正を考えて、どうしてもというのなら地方議員や知事位に止めて置いてほしいです。

  おまけ
 多分こんなの覚えているのは私を含めてほとんどいないであろうから書いておきますが、十年くらい前に当時の人気テレビ番組の「進め!電波少年」にて邦夫氏が登場したことがありました。
 確かお笑いコンビのTAKE2(ちょっと記憶が曖昧ですが)が自宅に招いてくれる政治家を探すという企画で国会前で片っ端から声を掛けていたところ、邦夫氏が「だったら俺の家の来い。朝飯を食わしてやるよ」と言って快く応じ、後日朝早くにTAKE2が尋ねていったところ邦夫氏が手ずから料理をして(確か作ったのはチャーハン)二人に振舞っていました。
 ただその際に邦夫氏は調理中にも関わらずタバコを吸い続け、見ているTAKE2も「(タバコの)灰が鍋に落ちてるよ」と小声で漏らしていました。当時からキャラが濃い政治家だとは思ってましたが、十年たって余計に濃くなった気がします。

2 件のコメント:

SOFRAN さんのコメント...

静岡県知事選、民主党推薦の川勝平太氏が、勝ちましたね。川勝平太氏は、学者として有名で名前は聞き知っていましたが、政治に野心があったとは。今回の選挙は、鳩山代表の献金問題で逆風もあったと思いますし、また、分裂選挙だったのに、よく勝ちましたね。自民党にとってはショッキングな事態ではないでしょうか。 そういえば、先の横須賀市長選でも、自民党候補が負けてました。

花園祐 さんのコメント...

 川勝平田氏が学者だったなんて知りませんでした。我ながらちょっとチェック不足ですね。

 麻生首相は今日の会見で県知事選挙の結果が国政に与える影響はないと言っていましたが、東国原知事が受かってからは地方に対して国民も注目を集めるようになりましたし、今回も投票率が六割を越すなど以前ならともかくもはや無視できない選挙になってきたと思います。そうは言いながら、千葉県は森田健作を受からせてしまう辺りまだ頭があったかいんですが。