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2020年2月3日月曜日

コロナウイルス禍に触れて

 明日から約一週間半の休暇を経て勤務再開となりますが、休暇前と比べると随分と状況というか世界観が変わったなとつくづく思います。さすがに昨日今日の上海市内は徐々に人が戻っていることもあって人どおりも以前よりは増えているものの、それでも平常時と比べると閑散とした状態でした。

 個人的に見ていて胸が痛くなるのは飲食店関係者で、今日も馴染みの飲食店を訪れましたが客は自分一人だけで、知り合いの店員も閑古鳥に苦しい状況にあることを吐露していました。その店員に言わせると、この際完全封鎖などはっきりした指針を出してくれれば店の営業を止めるなり決断できるのにと言っており、不満を漏らしていました。
 無論これは飲食店に限らず、春節という中国最大の連休をフイにした観光業にとっても大打撃が続いていることでしょう。中国政府は今回のウイルスによる経済的打撃への保障として十数兆円に上る予算を立てるとしており、また金融機関などへのつなぎ融資に関する通達も先ほど出しているのを確認しましたが、それでも大半の中小企業がこのまま耐えきれるかとなると難しいところです。

 先週木曜の春節休暇が始まる直前に武漢の封鎖が発表されましたが、当時においてはまさかこれほどまで大規模な事態になるとは私も思っておらず、幸か不幸かすごいタイミングで中国にいるなど今現在感じます。今日訪れた飲食店の店員は、毎年流行するインフルエンザと違い、今回のコロナウイルスは適切な治療薬が存在しないことから混乱に拍車がかかっていると指摘していましたが、実際その通りだと私も思います。
 とはいえ既にコロナウイルスの培養自体は成功しているものの、治療薬を開発し量産するとなると今シーズン中に期待するのは難しいでしょう。今やはり問題なのは、現在のような中国全土での戒厳令のような状態がいつまで続くかですが、少なく見積もっても二月いっぱいは確実で、三月いっぱいも続く可能性も十分あり得ます。特に武漢市に関しては三月中も確実に藩封鎖状態が続くとみられ、同市内に展開しているホンダや日産、そしてそのサプライヤーを含む日系企業への影響を考えると、日本にとっても対岸の火ではないでしょう。

 また前述の通り、製造業でなくても飲食店関係者もほぼもれなく大打撃を現在進行形で受けています。また日本国内でも何故か奈良が取り上げられていましたが、中国人旅行者のキャンセルに伴い打撃を受けているとされ、こうしてみると日中も随分と近い関係になったものだと思えてきます。

 敢えて未来に目を向けるとしたら今後、どのタイミングからまた正常な状態に戻れるか、そしてその後にどう動くかではないかと思います。先ほど書いた通りに私の予想としては三月いっぱいまでは正常化を期待するのは難しいだけに、楽観論で言えば四月以降にどう巻き返すかです。
 日本はちょうど桜のシーズンに重なるので観光客が期待はできるものの、意外と中国のことだから、「春節休暇が多かった分、四月以降は土日も働こう!」と言い出す可能性もあり、こうしたことを考慮すると四月も日本への観光客誘致は厳しいかもしれません。

 一方、製造業に関しては自動車は明日ちょうどJBpressで記事を出しますが、ただでさえダウントレンドだというのにここにきて長期にわたる稼働停止も見込まれることから、日系メーカーも含めかなりのダメージが予想されます。その一方で医薬衛生品需要は急激に高まっており、来年以降も防疫対策意識が強く残ることが見込まれるだけに、この方面では日本国内に工場のあるメーカーが追い風を受けるでしょう。

 それにしても改めて疫病というものの影響の計り知れなさを今回思い知りました。江戸時代なんかは飢饉と合わせるとこういった事態が頻繁に起こっていたと考えると、現在の日本の防疫体制などは本当によくできているのだと改めて思います。
 もっともそうした疫病以前に、またあと半年したら夏が来て、仕事の繁忙期を迎えるのだという事実の方が私にとっては怖いです。前より人員は増やしてもらったけど、果たして今年も自分は文字通り忙殺されず生き残れるのかが不安です。

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