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2020年2月21日金曜日

ノベルゲーレビュー その七(スパイク・チュンソフト系列)

 また間が空いたけどノベルゲーレビューの最終回です。今回は厳密にはノベルゲーじゃないけど、実質テキスト読むのが仕事なゲームで傑作を出しまくっている、スパイク・チュンソフト系列作品を一気に紹介します。

1、ダンガンロンパ 評価:A
 粉うことなき傑作作品で、遊んでいる間はめちゃ楽しかったです。
 内容は完全に閉鎖された学校内で殺し合いを仕向けられ、いざ殺人事件が起きたら誰が犯人かを学級裁判で議論し、推理していくという半デスゲームです。殺人事件の舞台とトリックがよくできているというか、現場などに残された痕跡を最低限表示しつつ、決定的な犯人確定要素もないまま議論に突入したところで、他の登場人物の証言をその場で解釈しながら犯人を特定するという構成となっています。

 あまりこういった表現する人はいないですが、この過程はミステリーというより民主主義の権化ともいうような形だと私は考えています。ほんの些細な議論点について無視せず、細かくみんなで検証していき、最終的に誰もが否定しない同一の結論へと至るという過程で、民主主義とはかくあるべき姿が描かれています。
 シナリオの出来もさることながら演出、また学級裁判中のミニゲームなどのゲーム性も高いのですが、それ以上に濃い登場人物たちを演じる声優のキャスティングが抜群に上手いというのがこのシリーズです。大物声優ばかりでなく実力派若手もよく使われており、キャラに外れた声というのはこのシリーズでは一人たりともいませんでした。

2、スーパーダンガンロンパ2 評価:C
 散々第一作を誉めておきながら第二作目がC評価というのは、単純に二番煎じだったからです。前作の良かったところをきちんと継承してはいるものの、舞台が閉鎖された学校から無人島とはいえ南国の島となり、緊迫感がほぼなくなりました。その上、学級裁判中のミニゲームの出来が良くなく、全体のテンポも悪化し、プレイ中は不満点が多かったです。
 シナリオも決して悪いわけじゃないものの、先ほど書いた通り完全な二番煎じに過ぎず、遊んでいて何も驚きがないというかよくこれで出そうとしたなという呆れたような気持ちでエンディングを見ていました。

 思うに、制作側もこうした欠点を把握していたのだと思います。というのも次作がまさに「二番煎じ」に対する回答を出しているからです。

3、ニューダンガンロンパV3 評価:B
 第三作目のこちらは「結末が最悪」、「プレイヤーを馬鹿にしている」などと発売当初は非難轟轟でしたが、私はそれら非難が何故起こるのかが逆に不思議でした。はっきり言えば、このシリーズ三作目に不満というか怒りを感じた人たちは、「二番煎じ」を受け入れる人たちだったからではないかと思います。
 先ほどにも書いた通り、全体のストーリーはいつも通りに学級裁判の半デスゲームですが、舞台は閉鎖された学校に戻り、この点は単純に良かったでしょう。でもって賛否両論となった結末については、「このまま延々と同じ展開を見続けるつもり?」というアンチテーゼに対する回答となっており、私も前作でまさにこの点が非常に気になってたというか不満に感じていた点だったので、制作側の方から一つの回答を出してきたことになかなか感じ入りました。

 なおその結末以外の部分に関してはほぼ全員が傑作と褒め称える出来で、普通に遊んでいても楽しい作品となっています。個人的には、王魔小吉(漫画「「王様はロバ」の作者のなにわ小吉氏から取られたらしい)役の下野紘氏の怪演がとにもかくにも凄まじかった印象があります。レビューでも、このキャラが出てこない場面がつまらなく感じたという人がいましたが、それには激しく同感です。

4、極限脱出 9時間9人9の扉 評価:A
 「極限脱出シリーズ」の第一作目ですが、ジャンルとしては脱出ゲームで、固定された空間の中で脱出する扉のキーを探し出して進めるという内容のゲームです。この脱出の謎解きが程よい難易度で時間をかければ確実の解けるくらいであり、尚且つステージを進めるごとに進むストーリ内容も秀逸で、終わりどころが分からなくなるほどのめり込む内容でした。
 評価は最大のAとしていますが、何故かというとこの作品はシリーズ第一作目で、特に矛盾点がないからです。というのも次作以降、細かい点ですが前作などとの矛盾点が所々で出てくるようになり、突っ込みだしたら切りがなくなるからです。

5、善人シボウデス 評価:B
 「極限脱出シリーズ」の二作目で、私が最初にプレイしたのはこのゲームでした。プレイ当初は気にならなかったものの、後から前作を遊んでみたら画面上のキャラクターの3D造形が今見るとひどい出来で、なぜ前作同様に2D立ち絵にしなかったのだろうかと思えてきました。
 そうした画面上の問題点はあるとはいえ、相変わらず程よい難易度と、謎の地下空間という閉鎖環境で結構サスペンスなシナリオ内容は非常にのめり込めりました。静的な恐怖というか、グロテスクな画像は少ないのに真相がだんだんわかってくるにつれて寒気を感じるシナリオという意味では秀逸な作品でした。

6、ZERO ESCAPE 刻のジレンマ 評価:B
 「極限脱出シリーズ」の三作目で最終作。ぶっちゃけ前シリーズ作品との矛盾点がそこらかしこにありふれていますが、相変わらず程よい難易度でシナリオが秀逸なのと、前作で課題だった3D造形が劇的に改善したこともあって、ゲーム自体の完成度は高くなっています。
 シナリオに関しては多少の矛盾に目をつむれば一応完結には至っており悪いものではないのですが、前シリーズ作品と比べると暴力描写が桁違いに増えており、且つ冒頭から数人死ぬのは当たり前、でもって死者の死に方も桁違いに凄惨という意味で、そういうのが苦手な人には向いてないかもしれません。

 なお声優ではぶっちぎりで、能登麻美子氏の声が怖かったです。能登こわいよ、能登。

7、AI: ソムニウム ファイル 評価:B
 上の「極限脱出シリーズ」と同じクリエイターが脚本書いているアドベンチャーゲームで、刑事となって生きた人間の片目をくりぬき殺害していく異常者をAIとともに追いかけていくハートフルなアドベンチャーゲームです。ついこの間クリアしましたがシナリオは申し分なく、ゲーム性はソムニウムパートという、相手の夢の中に潜り込んで制限時間内に脱出するくらいでやや深みに欠けるものの、それを補うくらい声優らの演技がどれも凄かったのでB評価にしました。あとイクラマンふとし。
 ダンガンロンパでもそうですが、この会社はとにもかくにも声優のキャスティングが毎回絶妙過ぎる気がします。ここでは取り上げてないものの「ザンキゼロ」も違和感を感じたキャラは一人もいなかったし、むしろあれ以上の適役を見つけるのは無理ってくらいいいキャストが演じています。逆にキャスティングの悪かったゲームを挙げるとしたら、「グローランサー2」かな。

 ちなみにこの作品の声優の中では、並み居る実力派の中で、みずき役の黒沢ともよ氏がぶっちぎりで演技がうまいと感じました。声だけであれだけ演じるというの末恐ろしい人です。

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