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2008年8月22日金曜日

現自民党執行部の経済政策について

 久々の政治解説だ、しかも内容もあるからやる気が出る。

 さて現在自民党では経済政策を中心に、党が真っ二つに分かれて政権対立が起こっています。この対立で面白いのは従来の派閥対立と違って、自民党の最大派閥の「町村派」の中で主に対立が起こっている点です。ま、町村派以外の派閥は皆増税派だから、派閥対立と見ても問題はないのですけど。

 ここで簡単に対立構図を出します。前回にも似たようなものを出しましたけど、今回はまたあれこれ深いところまで解説するので頭に叩き込んでください。

上げ潮派 VS 増税派(財政再建派)
中川秀直    与謝野馨
安倍晋三    谷垣貞一
小泉純一郎   福田康夫

 といったところでしょうか。最後の小泉氏、福田氏のところは本当はちょっとグレーですが、一応乗せておきます。

 簡単に説明すると、上げ潮派の主張というのは、景気がよくなれば国の税収も増えるので、税金を上げたりせず景気対策を行ってれば自然と国の借金も返せるようになる、という主張です。
 それに対して増税派の主張は、もはや国としては財政支出を削るところまで削りこれ以上は減らせないのだから、将来的に借金を返していくにはもう増税しかない、という主張です。
 現状で私の見方からすると、どちらも一長一短な意見ですが、まだ上げ潮派の言うことの方が一理あると思います。

 というのも、増税派が主張しているように「もう支出はこれ以上減らせない」というのはあからさま嘘だからです。この前まで孤軍奮闘していた渡辺喜美前行革大臣がぶちまけたように、今もなお国の出先機関である特殊法人や社会保険庁といった組織では予算の無駄使いが絶えず、また国家公務員についても今年六月に大問題となったタクシー券問題で、今日でたニュースによると、問題発覚後にこれまでタクシー券を先に渡して自由に使用させていたのに対して使った分を後から申告するという形に変えて一ヶ月経ったところ、なんと支出が九割以上も減ったというのですから、ここは上げ潮派の言う通り、「増税する前に、まだやるべきことがある」というところでしょう。やるべきこと即ち、無駄遣いの禁止です。
  ネタ元:タクシー券中止で月9千万円減 国交省、国会中も続行へ(asahi.com)

 しかし、だからといって上げ潮派の主張も必ずしも正しいと言うつもりはありません。むしろ、その政策の稚拙さに少し呆れるところもあります。
 上げ潮派の政策は基本的には新自由主義政策、つまり規制改革路線に沿っています。なので経済活動を阻害するような増税や規制は基本的になければないほうがいいという主張なのですが、その結果が今の格差社会ですし、この格差問題をどうにかしようという政策や提言をこの連中は全く言っていません。前安倍政権でも「再チャレンジ」とか言ってたけど、誰に対してとまでは言っていないと私が見ているブログの人なんか揶揄していました。

 両派の主張はこのように隔たりがあるものの、プライマリーバランスの回復という目的では一致しています。このプライマリーバランス、横文字なんて使わずに言うと収支均衡といって、要するに借金を借りる量より返す量が上回った状態の事を指し、今の借金漬けの財政をとりあえずどうにかしようってことです。
 両派ともに「税収の自然増」、「増税」と、歳入を増やす手段は違えどすべてはこの収支均衡のための手段の違いで争っています……風に見えますが、私は実はこの点に大きな嘘が隠されていると思います。

 その嘘をついているのは増税派です。なぜなら、増税派は「税金を上げて、その分を借金返済にまわす」といっていますが、その借金を使っている官僚たちの天下り団体にはやけに好意的で、それを打破しようとした渡辺行革大臣を逆に斬って捨てています。
 率直に言うと、私は増税派が増税して得た収入はすべて、小泉政権時に一度は崩されかけたて自分たちの利権を再び肥やすためにしか使われないと思います。その根拠として、現在閣僚として名を連ねている大臣たちはすべて官僚寄りの政策を採る人間ばかりで、挙句の果てには、旧利権を代表する年寄りばかりだからです。

 さらに言うと、小泉、安倍政権と冷や飯食いだった連中らがここに来て勢力が復権して調子に乗ったのか、こんな本音ともとりかねない発言がありました。
「財政再建は後回しでいい。それよりも、景気対策として公共投資を増やし、個人消費を刺激させるべきだ」
 この発言をしたのはほかでもなく、現幹事長の麻生太郎です。さすがにこの発言には私はあいた口がふさがりませんでした。
 私のブログでもすでに散々取り上げていますが、90年代は延々と「景気刺激策」の名の下に公共投資を行ってきましたが、経済回復は一切なく、ただ国の借金とおかしくなった夕張市のような自治体だけが残されました。結論から言うと、個人消費というのはマクロな経済には何の影響も与えないと私は考えています。

 にもかかわらず過去の反省もなくこんな発言が出てきたのですから、呆れるばかりです。それに、真に公共投資を行うというのならば社会的に弱者とされる人間らに行わねばなりません。それこそ病気の人やら苦しい生活を強いられている農家の方などですが、こういった方々には一切補助はなされず、恐らく増税派のやろうとしている公共投資は、自分たちの票田や利権に関わる土建業者などにしか行われないことは目に見えています。

 よく麻生と福田氏には政策意見の違いがあるといわれていますが、そんなことはないと私は考えています。むしろ政策的にはかなり近く、増税するだけしておいて、ちゃっかり自分の懐に入れようというような政策を持っているように感じます。ただ麻生の場合は嘘が下手だから、「財政再建」という金科玉条を忘れて本音を言っちゃっただけなのでしょう。政治家的に未だ未熟ですね。

 なので、私は現状では上げ潮派をまだ推します。ロシアでは政治家というのは皆腐った連中なのだから、腐った連中の中でもまだマシなのを選ぶのが選挙だと割り切っており、私も同じ毒ならまだ生き残れそうな、こちらの毒を飲みます。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 麻生氏も政治家的には未熟なんですね。僕も花園さんの意見を見て増税派は短絡的な政策をとっているだけなのではないかと思っています。だから、どちらかというと上げ潮派を支持します。
 
 しかし、いつもブログを見て思うのですがよくこれだけの記事を毎日かけますね。僕も今資格をとるための勉強をしているのですが進行状況はあまりよろしくありません。苦笑
 そこまで社会に対して強く発信したいと思う動機はなんでしょうか?
 僕には到底まねできない気がします。笑

花園祐 さんのコメント...

 自分も12月にある貿易実務検定に向けて勉強しています。英語問題とか、馬鹿みたいに簡単だけどこっちは。

 我ながら、自分の書く量に驚くときがあります。なんでこれだけ毎日書けるかというと、やっぱり基本的に文章を書くのが好きだからだと思います。それこそ文章だけ書いて暮らせるというなら、多分一日二食の生活を強いられても我慢できる気がします。

 社会に対しては文句が多い性格というのもありますが、やっぱり自分が中学生くらいの頃、こういった社会問題などを勉強したくとも勉強する手段がなかなか見つからなかったということもあり、何かしらそういった人の助けになれればと思い、書こうといつも考えています。