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2009年9月10日木曜日

民主党の連立協議を見て

 昨日は新聞からテレビに至るまでこぞって民主、社民、国民の三等連立合意のニュースが報じられていましたが、ちょっと昨日からあれこれ細々と動いていて全部が全部調べきれていないのですが、なんていうかどのニュースの論評も私からするといまいちな内容ばかりでした。
 主に取り上げられていたのは、「安全保障上の政策の溝」と「社民、国民の党首の入閣」の二点だったと思いますが、私はこんな事実ではなく何故この連立が行われなければならないのかというその背景への言及が少なかったのが非常に残念です。

 すでに知っての通りに民主党は今回の衆議院選挙で日本の議会政治史上かつてないほどの大勝を収め、単独政党としては過去最高の議席を保有するに至りました。前回の郵政選挙後の自民党は公明党と連立を組んでいたため、与党としては衆議院において三分の二以上の議席を持っていましたが、政党単独で見れば今回の民主党の獲得議席数は選挙前の自民党を上回る議席数です。
 それほどまでに大勝した民主党が何故、衆参合わせて議員数がたったの十人前後の社民党と国民新党と、しかも伝え聞く限りでは彼らの要求をあれこれ飲まされた挙句に連立を組まなければならないのでしょうか。わざわざ説明するまでもないですが、この理由は現在の参議院で民主党が単独過半数に達していないためだからです。

 日本の憲政上、いくら衆議院の優越が認められているとはいえ参議院にて過半数を確保していなければ与党はおちおち法案を通過させることも出来ません。今回の選挙前の自公も参議院では過半数を確保しておらず非常に厳しい国会運営を迫られましたが、それでも自公の場合は衆議院で三分の二以上の議席を保有していたことから、参議院で否決された法案でも衆議院での三分の二以上の賛成で無理やり通過させることが出来ました。しかし今回の民主党の場合は単独での議席が三分の二まで達していないためその手段を使うことが出来ず、仮に参議院で法案を否決されようものならほとんど何も出来ることがありません。うろ覚えですが確か、参議院で否決された法案は三ヶ月を経てば自然成立されたと思いますが、そんな毎回三ヶ月も待っていたらいろいろえらいことになるのは予想に難くありません。

 そうした民主の懐事情を知ってか、社民も国民も今回の連立協議では終始強気だったと思います。しかし彼らの政党はあくまで十人前後の小政党です。そんな小政党が状況の有利が働いたにしても、なんでもかんでも自分らの要求を今回の選挙で国民から投票を受けた民主に行うというのはどこか筋が違っていると思います。
 特に社民党については日米地位協定について今回あれこれ民主党に要求を行い、一部の民主党議員が不満を覚えるほどまで粘った挙句に自らが要求する文言を政策提言に無理やり入れさせたそうです。もちろん連立に参加するのですから要求を行うのは決して間違いではないですが、国民からそれほどまでに投票を受けたわけでもないのにここまでやるのかと、私の目からするとやや疑問に映る態度でした。こういっては何ですが、これから連立に参加して与党となるのに、まだ本人らは野党みたいに好き勝手文句が言えると勘違いしているのではないでしょうか。

 その点で見ると、公明党はいろんな意味で分をわきまえていたなと今になって思います。当初こそ難色を示したものの自衛隊のイラク派遣も最後には同意したし、自分らの要求する細かな政策を実行させる代わりにあんまり機微なところまでは自民党に突っ込まなかった気がします。なんでも社民党と国民新党は民主党が公明党と連立を組むのを最も恐れているらしいですが、今の状況と比べるとさもありなんでしょう。私もこの際、社民と国民と組むくらいなら公明と民主は組んでもらいたいとすら、今回の協議経過を見ていて思ったくらいです。

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