2009年9月16日水曜日

聖徳太子は一体誰なのか?(; ・`д・´)

 前にちょこっと書いたので、せっかくなので聖徳太子について私の見解をまるごと書いてみようと思います。

 まず大前提として、現在の日本の歴史においてはっきりと信頼性を置けるようになるのは壬申の乱後に即位した天武天皇の時代以降です。というのも天武朝以降の日本は隣国の唐へ遣唐使を送ることで相互にその歴史を証明し合っているだけでなく、東大寺を初めとして当時に作られた遺跡や建築物の系譜が現在においても比較的はっきりした形でまとめられているからです。
 これは逆を言えば、天武朝以前の日本の歴史は全く証明がつかない、あくまで推定の範囲での歴史だということになります。

 ここで挙げた天武朝以前というのは時代的には聖徳太子や蘇我馬子、また日本初とされる女性天皇の推古天皇がいた飛鳥時代から中大兄皇子こと天智天皇が大化の改新を行い、その天智天皇の息子の大友皇子と天武天皇こと大海人皇子が皇位を争った壬申の乱までです。
 では何故この辺りの歴史に信用性が低いのかというと、この辺の歴史については天武朝の系譜を引く奈良時代の天皇政権が編纂した古事記、日本書紀によるところが多いのですが、どちらの史料も時の政権によって編纂されたもので支配政権の正当性がご多分に漏れず主張されているからです。言ってしまえば大化の改新も、敢えて蘇我氏を悪役に据えてそれを退治した天智天皇一派、もとい藤原氏を善玉に仕立てているのではないかとかねてから言われております。なにせ、日本書紀編纂の責任者が藤原家二代目の藤原不比等なのだし。

 そういうわけで私に限らず蘇我氏、また同時代の聖徳太子についてその人物から立ち位置に至るまで疑義を呈す人間は少なくないのですが、聖徳太子についてはその存在もかねてより疑問視されております。以前の記事にも書いた通り聖徳太子が建立したとされる法隆寺は確かに史料通りの年代に作られていることが礎石から証明されておりますが、肝心な聖徳太子の子孫は蘇我氏によって滅亡に追い込まれたとされており、大化の改新後もしばらくは残っていた蘇我一族と比べるとなんだか唐突な印象を受けます。

 そんなことをこの前ガストで友人に話していたのですが……少し話は脱線しますがその友人は私と高校の同級生で世界史科目では学年で一番の成績を取っていたような友人なのですが、他の人間同様に歴史の知識は世界史だけに偏っていて日本史は時代によってほとんど知識がないところがある友人です。しかし世界史の成績がよかっただけに歴史に対する興味は強いのか、この時も私の聖徳太子の話を黙々と聞くだけでなくその後の反応についても下手な日本史科目の受験者よりずっと上でした。

 話は戻りますがその友人はこうした聖徳太子の話についていきなり、「聖徳太子は十人いたんじゃないのか?」と切り出してきました。何故十人かというと聖徳太子のあるエピソードによるからで、そのエピソードというのも聖徳太子の賢者ぶりを表す有名なエピソードです。
 日本書紀によると、聖徳太子は一度に十人もの人間の訴えを聞き分け、また適切に各人に返答したというエピソードが載せられております。これは暗に、聖徳太子という人物はその時代における複数の人物をひとまとめにして作った架空の人物ではないかと言っているのではないかとその友人は考えたわけです。

 この聖徳太子複数人説というのは実はこれまでにも提起されており、現状で私も最も支持する意見であります。というのも日本書紀における聖徳太子というのは本当にスーパーマンばりになんでもこなす万能人間で、本当にこれが同一人物が行ったのか疑わしい面も少なくないからです。
 いくつかそうした聖徳太子のモデルを紹介すると、蘇我氏が権力を握るきっかけとなった物部氏との戦闘においては軍隊を指揮する軍人で、自らも深く帰依して仏教を日本の国家宗教にする過程では宗教者で、小野妹子を隋に派遣する場面では外交官、憲法十七条を作る場面では政治家と、このように一人の人間としてみるにはあまりにも多くの姿を持ちすぎております。このほかにも細かいところを挙げれば一つでいいような氏寺を四天王寺や法隆寺などいくつも建立しており、また空飛ぶ馬に乗って通勤していたという超能力者っぽいエピソードまであります。

 となるとこの聖徳太子というのは、蘇我政権下で活躍した人物、もしくは蘇我馬子の功績を彼から引き剥がすために作られた人物と考えるのが自然かもしれません。一つ一つのエピソードは本物でも、それを果たしたのが一人の人物だとは必ずしも限らないのは歴史の常です。もっともそういうパターンはこれとは逆に、ローマのネロみたいになんでもかんでも当時に起こったよくないことを一人の歴史人物に押し付けられることのほうが多いのですが。

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