以前に恩師と会った際、こんな話を聞きました。
「よく学部生とかは卒業論文で非常に悩むでしょ。そういう時には教授があれこれ指導をするよりも、ほんの一年や二年前に同じように悩んだ大学院生が指導してあげる方が体験も近いからずっといいんだよ」
言われて見るとなるほど、確かに人から何かを教わる際には大先輩と呼ばれるような年齢の離れた人よりもまだ年齢の近い人間の方が教わりやすい気もしますし、逆に自分が教える際も、小学生に勉強を教えるのなら自分が中学生だった頃の方がうまく教えられたような気がします。
実際に今月初めから後輩の卒業論文を私もあれこれ指導しましたが、やっぱり教えてて「自分もここで詰まったなぁ」とかいろいろ思い当たったり気づく点も多かったと思います。
ここで話は変わりますが、現在の日本企業はどこも社員全体割合で年齢別ピラミッドを作ると、見事に三十台社員の層だけがぽっこりと穴が空くように薄くなります。これはなぜかというといわゆる就職氷河期の間にどの企業も採用を絞ったせいで、この氷河期時代に学校を卒業した世代の多くが企業社会に入ることが出来なかったせいです。
そして氷河期が去った現在ですが、再来年度の就職戦線は早くも不安視されていますがそれでもここ数年は売り手市場とまで言われるほど就職率が高まった年代でした。それにもかかわらず新卒就職者の五割は三年以内に辞職してしまうという、なんだか聞いててアンバランスな話がよく出てくるのですが、最初の話を聞いた時にもしかしたらこれが影響しているのではないかと素直に思いました。
つまりどういうことかというと、現在どこの企業も三十歳前後の社員が不足しているため、いざ新人が入ってきたとしても新人ゆえの悩みを共有、相談できる直近の先輩社員がいないため、そのような悩みが解消されずに若者は辞職してしまうのではないかということです。しいて言うとしたら、これは企業組織レベルにおける少子高齢化問題といったところでしょうか。
やはり何にましても年齢別人口バランスというのは整っていることに越したことはありません。こうした企業内における少子高齢化の問題を解消するにはやはり、企業体験こそもっていないものの三十歳前後の社員を企業は率先して雇っていくことだと思います。まぁなにも、こんだけ派遣切りが行われている今に言うことではないのですが。
2 件のコメント:
若い社員がすぐにやめる、ひとつの理由でしょうね。中途採用を増やすことが解決策になりそうですね。
やっぱり長い目で見たら、日本企業、というよりも日本社会が三十代の社員を補充していかないといろいろな意味で問題になる気がします。ついでに言えばこのような動きが加速されることによって、新卒しか採用しないという雇用慣行も崩れるきっかけになることを祈っております。
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