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2008年12月30日火曜日

労働問題は左翼の専売なのか?

 割と時間があるので、書く前からしんどくなりそうな気合のいる記事を書こうと思います。
 これは戦後のアメリカ統治時代のマッカーサーの逸話ですが、ある日こんなことを彼は周りに漏らしたそうです。

「一体何故、日本では労働争議が何でもかんでも社会主義系の政治運動と結びつくのだろうか」

 この言葉を聞いて、多分ピンと来るのは私の知り合いの中でも一人くらいだと思います。本当はその人とこの話についてしっかり議論をしてからこの記事をまとめるのがベストなのですが、ちょっと気合入れて一から十まできっかり書いて説明して見せましょう。

 このマッカーサーの発言ですが、これは彼の行った日本への政策の反応を受けて漏らした言葉です。日本に着任するとマッカーサーはすぐに戦前に治安維持法などで逮捕された共産、社会主義の左翼の運動家を監獄などから釈放しました。資本主義国を代表するアメリカがこんなことをするなんて驚かれるかもしれませんが、そこら辺は一応自由を標榜する国でもあるので、またアメリカ本国でも当時はまだ赤狩りが行われていない時期だったので思想や運動の自由を守るためということで実行しました。もっとも後年になって社会主義運動が大きくなり始めてくるとまた運動を制限し始めてますけど。
 そしてこうした左翼の運動家を開放する一方、マッカーサーはこれは教科書にも載っている財閥解体と共に、各企業の労働組合の結成を促す政策も実行していきました。

 何故労働組合をどんどんとマッカーサーが作ったのか、ちょっと素人意見で申し訳ないのですが、これは財閥の解体と共に戦前に有り余る力を持った財界人への対抗勢力を作るためだと考えています。これは最近だとめったに議論にもならないのですが、戦後にアメリカが日本が何故二次大戦であんな行動に出たのかという分析理由に、現在定説となっている軍部(官僚)の独走と共にそれを支援し続けた財界にも責任があるという報告をしています。この辺はあまり詳しくはないのですが、確かに戦前は今とは比べ物にならないほど財閥や企業経営者の力が強く、また労働組合という存在自体戦前には非合法とされ、一般労働者の権利は非常に弱いものでした。

 こうした状況を受け、労働者の権利を保持、確立させるためにマッカーサーは労働三法の制定といった諸政策を実行したのだと思います。そもそもマッカーサーは農地改革にて零細農民にも手厚い政策を取っていることから、同じく力の少ない労働者に対しても同様の政策を取ろうというのも自然な行動でしょう。
 だがそうして労働者の権利を守る傍から、最初の発言のようにマッカーサーは手痛いしっぺ返しを受けることとなりました。先のマッカーサーの発言のように、どうも当時は労働組合ができる傍から社会主義政党の影響を受ける集団となっていき、現在に至るまで左翼政党の票田となっては社会主義勢力が力を蓄えていったそうです。もちろんマッカーサーとしても労働者の権利向上はともかくとして冷戦体制に移行する最中のこうした動きに黙っているわけでなく、かの有名な「二・一ゼネスト」にて労働組合の活動を制限する方向へと方針を転換するに至ってます。

 ここまで言えばわかると思いますが、日本では労働問題は初めから左翼系の政治集団が扱うもの、というより労働組合自体が左翼組織の下部組織、またはそのものという認識が強いのですが、私やマッカーサーはこの認識に対して「なんでそうなっちゃうの?」と欽ちゃんばりに不思議に思うのです。
 実は世界的に労働組合が強い国といえばドイツやフランスに加え、アメリカでも最近よくニュースに出る自動車系労働組合を中心に非常に強い国とされています。しかし言わずもがなアメリカは資本主義の国で、社会主義系政治集団が全くないというわけではありませんが、基本的に政治は資本主義勢力の独壇場です。結論をここで言うと、私は労働問題は左翼や右翼に関係なく政治に携わる上で欠くことのできない重要な課題だと認識しており、少なくとも主義や勢力でどうこう言う分野ではないと思います。

 にもかかわらず、日本では労働問題や労働者の保護というと恐らく大多数の人はすぐに左翼という言葉や集団に結びつけるでしょう。何故こうした風になったかといえば、それは前述の通りに戦後の結成期に社会主義勢力の影響を強く受けるようになったということに尽きます。ここで私が強く言いたいのは、「労働組合は必ずしも社会主義の影響を受ける必要はない」ということで、資本主義下でも労働者の権利や地位が向上することで国力の増進が初めて図れるので、右翼や資本主義勢力にとってもまた労働者の権利や地位を守る必要性があるのです。なので本来なら、天皇制保持や自民党シンパの労働組合があっても全然おかしくはないのです。実際、高度経済成長期の自民党は労働者に結構優しかったし。
 更に言うと、憲法やなんだといった政治方針を一切もたずただ愚直に労働者の保護を訴えるだけで、政治勢力と一切つながりのない労働組合だって存在してもいい、ってかそういう風な労働組合の方がむしろあり方として自然だと私は思います。

 私は以前にも非常に恥ずかしい出来の文章となってしまった記事でも主張しましたが、労働というのは人間にとって生きる上で摂食と同等なくらいに必要性が高く価値深いものだと考えています。その労働に対して政治信条や方針がどうのこうのというのは恐ろしくくだらない議論で、本来あまり重ね合わせて議論するべきものではなく労働単体で議論するべきものと考えています。
 ともすれば左翼の専売と思われがちな労働問題ですが、今問題化している派遣難民やニートの問題といい、本来このような問題は右翼も左翼も関係なしにどう保護、分配するかを考えねばならない課題なのです。それを労働組合は左翼系な組織だと考え、また実際に左翼政党の組織票となっている労働組合ばかりという現状というのはもう少し考え直すべきではないかと思います。
 第一これを言ったら、

・左翼=社会主義、労働組合、革新派、フェミニズム
・右翼=資本主義、資本家、保守派、男尊女卑

 などどといった風に、何でもかんでも二項対立形式に各要素を一つの言葉にまとめ上げるというのは大きな問題です。差し当たって私が分離させたいのは、再度の主張となりますが「労働問題に右翼も左翼も関係ない」ということです。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 右翼、左翼の違いがようやく分かった気がします。この意識は国ごとでも違うのですか?

花園祐 さんのコメント...

 日本の場合が少し特殊な気がする。そもそもこういう言葉自体がよくないということもあり、今度細かく解説します。

匿名 さんのコメント...

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