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2010年3月10日水曜日

移民議論の道標~その十二、犯罪者は増えるのか

 ちょっと間をおいての連載再開。「ハンターハンター」ほどじゃないけど。
 さて前回の記事では移民を行うにあたり真っ先に行わなければならないのは入管こと入国管理局の強化であると私は主張しましたが、今日もその辺に関わる内容として犯罪の問題についてまた少し語ろうと思います。

 この移民議論において移民に反対している方々の反対理由を尋ねるのであれば、まず間違いなく外国人犯罪者が増加するという理由が第一位に挙がる事でしょう。日本と通貨格差がある中国や東南アジア諸国の人間からすれば日本はまさに一攫千金が狙える場所で多少のリスクを張ったとしても犯罪に手を染めて大金を稼ごうという人間も少なくなく、移民の受け入れを行おうものならば労働者のふりしてやってくる犯罪者を自ら招き入れてしまう、という意見はかなり以前から現在に至るまで存在しています。

 結論から言えば、私も移民の受け入れを行えば外国人犯罪者は増加すると確信しています。しかしその増加率ともなれば入国者数が二倍になれば流入する犯罪者の数も二倍にと単純比例で増えていくのではなく、実際には二倍に対してそれを下回る倍率で増加していくのではないかと思います。
 一体何故私がそのように考えるのかというと、移民についての議論で以前からこのような意見があるからです。

「日本で大金が得られると知って犯罪目当てにやってくる外国人らは入国規制が厳しいか緩いかといった事を始めから考えず、なんとしてでも入国しようとするものばかりである。そのため正式ではあるものの煩雑な手続きを敢えて行って入国する者もいれば、入国審査が通らないとわかれば密入国をしてでも入国しようとする者もいる。如何に入国に当たって規制や審査をかけようとしても彼ら外国人犯罪者を防ぐ有効な手段とはなりえず、そのような規制や煩雑な審査はむしろ真っ当な外国人の来日を倦厭させるだけにしかなりえない」

 恐らくそんなものなどないでしょうが、私がかねてより気になっているのは日本で犯罪を犯した外国人の入国手段は一体どんなものか、正式な手続きを経て入国してきた外国人と密入国者との犯罪率を比較するような統計はないものかと前から探していますが未だに見つかりません。よく中国人などは犯罪をするためだけに日本にやってくるなどという極端な意見を言う方もおりますが、現行でとっ捕まっている外国人犯罪者のうち密入国者の割合はいったいどんなものかというのがなかなか見えてきません。

 仮に外国人犯罪者の来歴のうち密入国者の割合が高いのであれば、正式な手続きや審査を経て日本に入国してくる外国人については現在ほど懸念されるような犯罪者である確率は低いのではないかと思います。もちろんそれを見越しても移民のように大量の外国人を受け入れる事となれば審査漏れなどが発生して犯罪者が混じってくる可能性は高まるでしょうが、その辺の問題というのは移民をやるかどうかというより、前回で話した入管の問題なのではないかと私は思います。

 そしてさっきの意見で書いたように、犯罪者というのは儲け話があればどんな苦労も気にせずやってくるのに対し、日本に興味があったり留学を考えてやってこようとする真っ当な外国人からすれば煩雑な手続きや審査は気だるいものにしか過ぎず、緩めろとまでは言いませんがあまりにも厳しすぎれば返って人材の交流を妨げて犯罪者だけしかやってこないような体制にしかねません。

 何度も繰り返しになりますが、外国人犯罪について本来議論すべき場所は入管や警察、海上保安庁だと私は思います。如何に相手国と犯罪者情報を交換し合って共有するか、密入国ルートをどれだけ潰すか、入国前の審査でどれだけ阻めるかであって、移民の議論でも無関係ではありませんがもっと議論のポイントを広げて語るべきでしょう。そして移民を議論するのであれば、外国人犯罪者が増えるからという理由で即座に否定するのではなく、どうやって外国人犯罪者を招かずに受け入れていくかを考えていくことも移民議論に限らず必要です。

 そんなわけで次回は、多分この連載で一番私の加工が入った情報の詰まっている、中国からの移民の価値について解説します。

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