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2010年3月7日日曜日

日本でのオランダモデルワークシェアリングの必要性

 なんか昨日今日とブログを書く気力が湧かず、昨日に引き続きまた今日も二日続けてサボろうとしていました。急に寒くなったのが原因かな、まぁひとまず今日は頑張って書くけど。

 そんな絶不調下で書く今日の話題はというと、先日に移民の連載記事の方にいただいたコメントにてオランダでの移民の状況について言及されるものがあったのですが、それを見てふと思い出したオランダ型ワークシェアリングについてです。

ワークシェアリング(ウィキペディア)

 ワークシェアリングという英単語をそのまま直訳すると「仕事を分ける」という意味で、この意味通りにそれまで一人の人間が行ってきた仕事をを数人に分けて行っていく制度や考え方の事を指しております。ただ一概にワークシェアリングといっても各国によって持たれている考え方、またすでに実施されている制度の意味合いは異なってはいるのですが、最も進んだ形として実施されているのはオランダの制度であるというのは衆目の一致する所であります。

 ではオランダでのワークシェアリング、通常オランダモデルと呼ばれている制度というのは具体的にどのようなものかというと、オランダでは1980年代に襲った大不況時において景気打開策として、「フルタイマーもパートタイマーも、時間当たり賃金を同一のものにする」という法律を作りました。この法律の概要を一言で言い表すのなら同一賃金同一労働の徹底化ということで、例えば同じオフィスで事務作業をするにしても現在の日本では正社員と派遣社員とアルバイターとでそれぞれ給与に差があり、問題があるとはいいつつも是正の動きは全くありません。

 これに対してオランダでは正社員だろうと派遣社員だろうとアルバイターだろうと同じ仕事をしているのなら時間当たり賃金、要するに時給換算した賃金に差をつけてはならないという制限をかけたわけです。そんなこと言ったってうまいこと賃金格差が埋まるはずないと思われがちで、実際に当時の周辺国からはまたオランダが変な事をやっているよと言われていたそうなのですが、この制度を導入してからオランダではフルタイマーとパートタイマーの賃金格差はぐんぐんと縮まり、どっかでみた資料の比較では日本のパートタイマーの時給換算賃金はフルタイマーの0.4倍であるのに対し、オランダではなんと0.9倍にまで詰めているそうです。

オランダのワークシェアリング(Youtube)

 上記リンク先のテレビ番組の動画ではそのようなオランダの現状について取材、報道されており、特に冒頭のインタビューに答える男性の答えはかねてよりこのオランダモデルを知っていた私にとっても非常に意外なものでした。そのインタビューはどのような仕事をしているかという質問なのですが、その質問に対し男性はこう応えています。

「弁護士の助手と飛行機の客室乗務員の2つの仕事をしています」

 弁護士の助手と客室乗務員なんて一見すると全く縁もつながりのない仕事に見えるのですが、オランダではそれでも両方掛け持ちする事が出来るそうです。

 このオランダモデルのワークシェアリングの最大の強みは何かといえば、個人がそれぞれの都合に合わせて仕事を行い、また休日もそれぞれの都合によって決められるという点です。したがって周三日働いて残りの四日を休むこともできますし、周三日ずつ二つの仕事を掛け持ちして一日休日を取る事も出来ます。それにしても、警察官の三分の二までがパートタイマーというのだから本当に末恐ろしい国だ……。

 現在の日本はこの様なオランダの現状とは程遠く、フルタイマーとパートタイマーの賃金格差が大きいだけでなく月曜から金曜の五日間は必ず出勤しなければ安定した雇用を得辛い状況にあります。私はかつてこのオランダモデルが学校の授業で取り上げられた際は確かにこの様な働き方が出来る制度は理想的だけど、日本だと文化的な違いや制度的な面、また人口規模(オランダの人口は16,592,00人)の違いから実現は難しいだろうと発言し、周りの授業参加者もみんな似たような意見でした。

 しかし私は近年の日本の状況を見るにつけ、このオランダモデルの日本への導入はやれる、やれないの話をしている場合ではなく、もはややらなければいけない状況にまで来ているのではないかと考えを改めるようになりました。

 まず第一の理由としてニート、フリーター、ひいては若年失業者の増加問題の対策としてです。未だに正社員でなければ真っ当な人間にあらずという極端な概念の強い日本では就職氷河期に就職できなかった若者は延々と就職する機会が得られず、賃金格差の激しいパートタイマーの仕事で食いつないでいる方が数多くおります。このような若者の追い込まれた状況を支援するために同一労働同一賃金の必要性はかねてから主張されているものの、一向に改善の兆しは見えてきません。

 次に労働力配分の問題です。現在の日本は失業者が大量に増加している一方で介護や医療、農業といった分野では労働力が不足している状況にあります。もちろんそれらの事業を運営している団体や個人が人を雇う余裕がないというのも大きな理由ですが、ワークシェアリングの導入によって雇用の流動化を進め、安定した賃金が得られる仕事を行う一方でこれらの分野の仕事を週一で手伝ったり、ボランティアとして活動したりする事で補完が得られる可能性があります。

 そして最後にして最大の理由として、二番目の理由とも多少重なりますがこれから予想される介護問題への対策としてです。目下の少子高齢化は言わずもがな、しかるに現状の日本の介護体制は人員も揃っていないばかりか今後ますます要介護者は増えていく一方です。つい先日にも介護疲れから心中が行われた事件が報じられましたが、介護態勢が整っていないゆえに今後の日本は各地でこのような殺人が頻発していくとみてほぼ間違いないと言っていいでしょう。

 今の介護の問題で何が大きな問題かといえば、要介護者を施設やヘルパーに介護を委託しようにもお金がかかり、かといって自分で介護をしようとしたら四六時中付き添わなくてはならないので仕事を辞めざるを得なくて自らも生活に困窮していくという、いわゆる介護倒れという負のスパイラルが起こるという現状です。特に日本の場合だと先ほども言ったとおりに月から金まで毎日出勤する正社員でなければ真っ当な給与は得辛く、二日に一回の割合でヘルパーに来てもらい残りの日は自分で介護することで費用を軽減しようとしても、二日に一回の出勤など認められるわけなく必然的に仕事は辞めざるを得ません。

 仮にオランダモデルがうまく導入できるとしたらこの仕事をしつつ自分で介護を一部行うという選択肢が選べるようになり、介護に必要な労働力を要介護者の家族らに一部担ってもらう事が可能になります。現状においても家族による介護補助がなければ介護は成り立たないといわれており、介護倒れを防ぐためにも私はオランダモデルこそが最善の選択肢なのではないかと思うに至ったわけです。

 このほかにもまだ書くべきことはあるのですが、あまり長くなるのもなんなのでここまでにしておきます。やる気が低い割にはそこそこ書けたなぁ。
(´Д`) =3 ハゥー

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