前回に引き続き、外国人地方参政権付与案に対して私が何故賛成なのかという理由について述べます。
まず一つ目の理由として前回の記事で私は、そもそも参政権付与の対象となる永住権資格を持つ外国人の数が日本では絶対的に少ないという理由を挙げました。この地方参政権付与に対して反対をしている方は外国人に選挙権を与えることで日本は内から行政が乗っ取られるという発言をよくしていますが、この人数からしてさすがにそこまで考えるのは現実離れしすぎじゃないかというかと私は思います。仮にこの参政権付与を認めると調子に乗った外国人が大量にやってくるといいますが、少なくとも韓国は日本よりも人口が少ない上に、永住権を得られるまで最低十年はかかる事からそれもそんな簡単にはいかないでしょう。
ただこの外国人人数の面からの意見は私が地方参政権付与に「反対をしない理由」であって、「賛成をする理由」ではありません。ならば賛成する理由は何かという話ですが、これはこの連載の六回目で書いた「外国人研修生」の問題ゆえです。
詳しくはリンクに貼った該当記事を読んでもらいたいのですが、まさに現代の奴隷制度と言ってもよいこの外国人研修制度の元に少なくない外国人が日本で半ばだまされる形で働かされております。もちろん現代は外国人に限らず数多くの日本人も派遣労働などで厳しい労働を強いられておりますが、この外国人研修生の待遇改善についてはやはりその立場ゆえか派遣問題と違って日本ではなかなか大きな声になりません。
私はこの外国人研修生の問題は長引けば長引くほど、将来の日本の国益に損なう問題になるとかねてから考えております。というのもかつて日本人も戦前戦後の混乱期に南米諸国を中心に移民として渡りましたが、着いた移民先の国では約束された待遇とは程遠い厳しい状況に置かれただけでなく、北朝鮮へ渡った日本人妻の問題などのように政治的な騒動に巻き込まれたケースもあります。このような事例に対して私は同じ日本人として、やはりそのように日本人移民者を間接的に騙してその人生を損なわせた日本政府と当該国によい感情を持つ事が出来ません。
このような事が現在外国人研修生として働いている方々と彼らの母国ににも将来起こるのではないかと私は懸念しているのですが、だとすればどうすればこの外国人研修生問題を解決できるのかといえば、やはり彼らが何かしら声を持つ事、投票権を得る事が一つの方法ではないかと思えます。無論外国人研修生として来ている方は永住資格を持たない方ばかりでこの議論での投票権授権者には当たりませんが、外国人に投票権を与える事、もしくはそれを議論する事でこの問題も取り上げるきっかけになるのではという願いから、私は賛成の立場に回る事にしました。
そしてもう一つ、これなんて私らしいなぁと思う理由なのですが、そもそも問題となっている今の日本の地方選挙自体にいろいろと疑問に感じる所が多いからです。
宮崎県で東国原現知事が当選し、続いて大坂では橋本現知事が当選した事から首長(しつこいようですが「しゅちょう」です)を決める選挙はこのところ全国区のニュースでも大きく報じられるようになりましたが、その陰に隠れて地方議会の選挙や議員の問題は未だに注目を集めておりません。
現在の日本の自治体はどこも財政が多かれ少なかれ債務超過に陥っており、すでに財政破綻宣言を行った夕張市のような状態にいつなってもおかしくない自治体も少なくありません。何故この様な状態になったのかといえば長引く不況が原因と言い切れば簡単ですが、それ以上に私は本来このような事態を避けるべく自治体行政を監視する地方議会が、その本来の役目を果たさなかった事の方が大きな原因だと見ております。しかもその地方議員自体が近年明らかになってきた政務調査費の問題のある使途への使い込みに始まり、その活動時間に対してあまりにも法外ともいえる報酬額など自らが財政悪化原因となっている現実もあります。
この辺については下記サイトで詳しく比較されていますが、日本の地方議員は人数で言えば他の国と比べて極端に多いわけでないものの、報酬額については異常としか思えないほどの金額となっております。
・日本の地方議員の給料は世界の非常識?(JB PRESS)
そして極め付けがそもそもの地方選挙です。今に始まったわけではありませんが日本の地方選挙の投票率は地域差もありますが他国と比べてやはり低い傾向にあります。そして選挙の中身をよくよく調べてみると、さすがに都議会選挙とかなら違うとは思いますが、ざっと見た感じだとどこも当選率は50%を上回っており、全体的には八割くらいの確率で日本の地方議員は当選をしております。ひどいところなんて18人の地方議員を選ぶ選挙で候補者が18人だけだったから無投票なんていう所もあり、こんな選挙だから議員の質も低いんじゃないかと言いたくなるような選挙ばかりです。なんていうか、宝くじを当てるより簡単そうに見えてくる。
それゆえに私は、絶対数的に議会を乗っ取る事は不可能なのがわかっているのだし、逆説的にこの際外国人に地方参政権を与える事で日本人に危機感を煽ってもっと地方選挙に目を向けさせるべきなんじゃないかと考えたわけです。かつて橋本知事も知事になる前にテレビで言っていましたが、財政破綻した夕張市は住民も全く責任が無いわけではなく無駄な支出を続ける議員を止めなかったと指摘していましたが、私もこれに同感です。そうした意識を換気させる意味で、この外国人参政権議論なんてうってつけだと思うのですがあまりここまで議論が及ぶ事は今のところありません。
最後にこの外国人地方参政権について私は全く懸念を持っていないわけではなく、大都市ならともかくそれこそ人口の低い地域に選挙前になって突然住民票を移動してきたら議会で多数派を握られる可能性もあると認識しております。特にこの関係で最も重要になってくるのは人口約34,000人の長崎県対馬市で、現在韓国があの手この手と対馬は韓国領であるという主張を強めてきており、下手すりゃ本当に住民票の大量移動という強引な手段を使ってくるんじゃないかという懸念があります。
そこで妥協案として私は、防衛や資源保護といった国益上で重要となってくる地域に限ってはこの外国人地方参政権の認定を除外するという処置が必要になるかと思います。平等に反するなどと言われるかもしれませんが、国益の前では昔も今も平等なんてあってないものだと私は割り切っているので、言わせたいだけ言わせておけばよいでしょう。もししつこいようなら、本国でも外国人に地方参政権を認めろと逆に言い返せばいいのだし。
ざっとこんな具合が、私が外国人地方参政権議論に対して言いたい事のすべてです。この手の議論は感情論ばかりで具体的なデータや論証があまりなく互いに批判を繰り返す議論ばかり見受けるのですが、もっといろんな人間がまざって議論して、ここで挙げた問題が世間に認知されていければいいなと思います。
そういうわけで次回はこの連載のまとめを行う、最後の記事になります。
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