2009年6月6日土曜日

日英の政治学用語の違い

 久々に政治解説です。細かい内容ですが、最近あまりやっていないのでちょっと取り上げようと思います。

 さて最近、バラエティや討論番組にて民主党の国会議員が登場する際に、「ネクスト○○大臣の、××氏です」といった紹介のされ方が増えてきていると思います。一体これはなんなのかというと、いわば民主党内での各政策の担当責任者であるということを意味しており、民主党のサイトではこのネクスト大臣の名簿が一覧にされているので早速リンクをつけておきます。

■鳩山『次の内閣』閣僚名簿(民主党web-site)

 この制度が日本の民主党にいつ頃から出来たのかはわかりませんが恐らく、というよりは間違いなく英国の「影の内閣」制度をもじったものでしょう。その英国の「影の内閣」こと「Shadow cabinet」ですが、これは先ほども言った通りに野党内の各政策担当者、責任者を公にすることで、政策論議や党内意思決定を明確にするという制度です。

 国会議員といっても、防衛から外交、経済、労働などすべての政策をカバーする人間はほぼ皆無といっていいほどおりません。どの議員も何かしら自分の専門とする分野を持ち、その分野の国会内の委員会に参加することで議論や意思決定を行って行きます。
 与党においては基本的にそれら各分野の責任者こと担当者は内閣内の国務大臣で、彼らが党内でも最高責任者となります。それに対して野党はというと、英国などではかなり以前から与党の国務大臣に対応する形で野党内にも似たように各分野の責任者を定め、与党側の担当者に対して自党の担当者である「影の大臣」を質問などに立たせて議論を行わせたり、党内での意見の集約などを行わせてきました。

 この制度があるとどのように有効であるかですが、まずは国民に対して与党の提案する政策に対して対案を見せやすくなり、また人材を含めて広く対比しやすくすることが出来ます。その上、仮に選挙前であれば、

「もし我々が与党になった暁には、この分野の大臣にはわが党のこの議員を大臣にします」

 という、予告先発ならぬ予告大臣を見せることとなり、有権者に政権を担わせるかどうかの判断材料を提供することになります。

 まぁこういう制度なので、政治を注視する私の側からも誰がどの分野に強いのか、どういった意見が野党内で強いのかがわかりやすくなるのでありがたいことこの上ない制度なのですが、注目すべきなのは日本の民主党が使っている「ネクスト内閣」というこの名称です。

 本家英国では先ほども書いたとおりに「Shadow cabinet」で、直訳するのなら「影の内閣」です。「ネクスト内閣」では日本語も混ざってますがこちらも直訳すると「次の内閣」で、ちょっと意味が違っています。何故このように名称を敢えて本家と変えたのかですが、私の予想では恐らく日本語で「影の内閣」と呼ぶと意味的には「黒衣の宰相」こと、「政権を裏で操る者」という意味を連想しやすいからだと思います。実際に小泉元首相の元秘書の飯島勲氏がかつて、確かライス国務長官(当時)に冗談で、

「I am a shadow cabinet.」

 と言ったことがあったと記憶していますが、この時の意味合いはあくまで冗談でしょうが、「政策を決めているのは実は私ですよ」というような意味合いで言ったのだと思います。
 こうしたイメージ的なものから、やや苦しいながらも「ネクスト内閣」という名称にしたのでしょうが、まだこの野党内擬似内閣制度が定着していないのを考えるとこういう風にするのも仕方がないと思います。しいて言えば、日本語を英語を混ぜるくらいなら初めから「次の内閣」という風のがいい気がしますが。

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