「日本の検察は捜査権と訴訟件という二つの大きな大権を独占している。少なくとも、捜査権だけでも彼らから取り上げなければいけない」
上記の発言をしたのは元ライブドアの社長の堀江貴文氏で、彼は自分の体験から日本の検察が恣意的な捜査を行っていることに対して自著にて激しく非難しております。
現在、日本の刑事裁判は検察による起訴が行わなければ開かれることはありません。これは逆に言えば検察が自分らにとって都合の悪い案件などに対しても自分たちが起訴さえ行わなければ一切裁判を開かせず、被告となる人物にも刑罰を加えさせずにいられるということです。
改めてこういう風に書くと検察というのはものすごい力を持っている組織だと思えてきます。実際にこれは関東の人にはなじみが薄いのですが、関西では民放などでよく取り上げられている元検察官の三井環氏のケースがあり、彼が検察内部で調査活動費の名目で裏金を作っていることを民放の番組に出演して暴露しようとするや、その収録直前に突然逮捕されて結局告発することが出来ずに終わってしまいました。逮捕容疑も、聞いててなんだかよくわからない内容だし。
そんな検察に対してこのところ私が一番不満に感じているのは西松建設事件についての対応です。この事件では何の前触れも無く民主党の当時の代表であった小沢一郎氏の秘書が不正な手段による政治献金を受けていたとの事で逮捕されましたが、突っ込みどころを一気に並べ立てると、
・何故献金を受けた小沢氏本人ではなく会計責任者とはいえ秘書を逮捕したのか
・何故逮捕前に事情聴取がなかったのか(この手の事件では前例が無い)
・何故同じ団体から献金を受けていたほかの自民党の議員らについては捜査をしないのか
・何故秘書が容疑を否認しているにもかかわらず、認めたとの情報をNHKにリークしたのか
・何故別団体から同じ迂回献金を受けていた与謝野大臣らの秘書をいきなり逮捕しないのか
ざっと、こんなもんです。こうして挙げてみると本当にたくさんありますね。
そんな私にとって憤懣やるかたない検察に対して、これはつい先週に初めて知ったのですが一般市民が検察の訴追について意見を申し立てる機関があったそうなのです。その名も「検察審査会」です。
この検察審査会というのは、なんかウィキペディアでは「くじで選ばれる」と書いてはありますが具体的な選出方法はわからないのですが、一般市民から選出された委員によって構成され検察が不起訴とした案件に対して不服を申し立てる者が現れた際に、検察が不起訴とした判断が適切であるかどうかを審議して多数決にて出した結論を検察に勧告する機関です。
この検察審査会が設置された背景には市民と検察の間で訴追に対して大きな溝を作らせないためなのですが、お世辞にもまともに機能しているとは言い難い状況でした。というのもこの審査会が検察の不起訴とした判断を適当だったという結論が出た場合は「不起訴相当」、不適当だった場合には「不起訴不当」、もしくは「起訴相当」という議決を行うのですが、後者二つの不適当という議決が出たにもかかわらずここ数年の実績ではその後に起訴されたのはたったの約二、三割だったそうです。
これでは何のために審査会があるのかという方々からの指摘を受け、実はつい最近の先月五月二十一日に一部法改正されて「起訴相当」が二回も出た案件に対しては検察の意図に関わらず必ず裁判が開かれるように権限が強められました。この流れを受けてか、検察もこの審査会の議決を重く受け止めるようになったのかと思わせられたのが以下のニュースです。
・二階派パーティー券購入問題、西松元社長を起訴(YAHOOニュース)
これは小沢氏の秘書が逮捕されるきっかけとなった迂回献金を行っていた西松建設の団体が、現二階経済産業担当大臣の政治資金集めのためのパーティー券を購入していた容疑について東京第三検察審査会が「起訴相当」という議決を出したことから、当初起訴が見送られていた西松建設元社長に対して本日検察が起訴を行ったというニュースです。こういうのもなんですが何故検察が不起訴としたのかも全く以って理解し難かっただけに、検察審査会がきちんと機能するのだと驚きとともにちょっと前途に希望を覚えました。
元々私がこの検察審査会を知るきっかけとなったのは先週にまさにこの東京第三検察審査会が今回の案件について「起訴相当」という議決を出したことを報じたニュースからで、昨日あたりにでも審査会についての解説記事を書こうと思っていたらカルテルの記事を書かなければいけなくなって、今日は書くぞと思っていた矢先に先ほどの起訴のニュースがきて非常にタイミングのいい記事となりました。
私はやっぱり今の検察の恣意的な捜査方法には疑問を感じることが多いので、今後もこれらの審査会が十分に機能することを陰ながら応援していこうと思います。
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