・中高一貫九段校で1割が高校段階進まず 転学勧められる(朝日新聞)
上記のリンクは今日の夕刊に掲載されたニュースですが概要を説明すると、区立九段中等教育学校にて中学段階を終えた生徒のうち、全生徒の約一割に当たる18人の生徒が付属の高校に進学せず他の高校に進学していたことを報じているニュースです。
この区立九段中学というのは公立学校のレベルアップを目的に中高一貫教育制度の学校として2006年に開校した学校なのですが、学校側の説明によると今回明らかになった内部進学しないで他校に進学した生徒たちは学力面や態度などに問題があると学校側が判断し、去年の中学三年の段階で保護者を交えて面接して外部進学を勧めたそうです。この事実に対して夕刊に寄稿している国際基督教大学の藤田英典教授は学校側の対応を批判し、問題のある生徒を最後まで面倒を見ずに外に放り出して学校側の責任放棄でしかないと述べていますが、私はというとこのケースでは生徒に外部進学を勧めた学校側の判断を支持します。
記事によると外部進学を勧められた生徒らは授業中にノートを取らなかったり、学校が求める補習に参加しなかったりなど学習面で問題があり、高校での授業についていけず進学しても留年する可能性が高いとして学校側は外部進学を勧めたそうです。まだノートを取らなかったことについては私もほとんど取らないことで有名だったのでそれほど気にしませんが、参加するよう求められた補習にも参加せず成績が振るわないのであれば外部進学を勧めた学校の判断も適当かと思います。先ほどの藤田教授は責任放棄と学校側を批判していますが、補習などを組んでも生徒が参加しないのであれば責任もなにもあったものじゃないでしょう。
また私は私立の中高一貫校に通っておりましたが、やはり私の学校でも高校に内部進学したものの高校での授業についてこれず、最終的には追試やら何やらをこなして卒業にこぎつけたものの在学中にずっと成績面で悩んでいた同級生を何人か見ております。そうした同級生を見てきた私からすると、無理してレベルの高い学校に通い続けるくらいならある程度自分のレベルに合った学校で授業を受けるのが生徒らにとって一番いいのではないかと思います。
特に最近は高校での勉強についていけず、途中で転校するならまだしもそのまま退学して引きこもりになってしまう子供たちが社会問題化しております。そうならない前に身の丈にあった学校を勧めるというのは結構酷な役割ではあるものの、それも教師の仕事の内だと私は考えます。
なおこの区立九段中学については、私は生徒の選抜方法にも大きな問題があった気がします。この学校は公立の中高一貫校ということで当初より注目が集まっていたのですが、募集する生徒数はこの学校のある千代田区民の「区民枠」と区民以外の都民である「都民枠」の二枠に分け、それぞれ80人ずつの計160人を募集したところ前者の入学者選抜の倍率が1.7倍に対して後者は10.0倍だったそうです。そして案の定と言うか、今回高校に進学しなかった18人の生徒のうち16人が区民枠の出身だったそうです。
これはこの前に友人から借りた三浦展氏の「下流大学が日本を滅ぼす!」(ベスト新書)にて書かれていますが、現在の私大における入学者の約半分は指定校推薦枠、付属高校からの内部進学、面接などで決まるAO入試など学力試験を行わずに入学する者で占められるそうです。それでこちらも案の定と言うか、学力試験を伴う一般入試選抜に合格してきた入学者に対して先の入学者たちは留年率などが高い傾向がはっきりと出ており、前に一回私もこのブログで書いたと思いますがAO入試については廃止する大学が近年増えてきております。
私の経験からしても、高度な授業を受けるにはやはりそれ相応の学力や知識が必要になります。逆を言えばそうした学力がないのに授業がハードな大学や高校に入学するのはその学生や生徒にとって不幸を生むだけで、そんな不幸をわざわざ生まないためにもきちんとした選抜方法でもって学校は入学者を選ばなければならないと思います。
今回の区立九段中学については言うまでもなく、区民枠を80人も取ったというのがそもそもの問題だったと思います。といっても、この学校は出来たばっかだからあれこれ言うのも野暮ですが。
なお私は大学は一般入試を経て入学しました。進学したのは関西で唯一受けた大学でしたが、関東より関西の大学の方が国語の古文は難しいとうわさには聞いていましたが、あまりの難しさに試験中に目を丸くしたのを今でも覚えています。いやでも、ほんと受かってよかったよ(〃´o`)=3 フゥ
4 件のコメント:
花園さんのおっしゃることは、すごくわかります。というのも、僕も高校のとき野球ばかりをしていて勉強についていけなかったからです。 入学当初は、順位は学年で半分くらいだったのですが、年々順位は下がっていきました・・・。なので、野球をするのならもっとはじめから下の高校に入ればよかったと思うわけです(笑)。まあ、はじめは自分でもこんなに野球に熱中するとは思わなかったのですがね(笑)。
まだサカタさんは自力で入学しているのだし、きちんと卒業できたのだから気にするほどでもないですよ。野球に熱中したのも、学校で勉強だけというのはさびしいものですし。
ちなみに自分は中高一貫校に入学して、中学時代のテスト成績は下から十番とか二十番以内がざらだったのですが、高校に上がってからだと上から三分の一前後を常にキープしてました。どうしてこうなったのかと言えば、高校からはあまり真面目に授業を考えて聞かず、先生の言うことだけをテストに書くようになったのが生きたのだと思います。
今回の九段中OBです。まずどんな事情があろうとも後輩の首が18人も切られたという事実は重く浮け止めねばいけないと思っています。しかし枝葉末節なはなしに結論を持っていきたくわありません。もっとスケールの大きい話に持って行ってもらいたいと思います。
コメント、ありがとうございます。
おっしゃられること、まさにごもっともです。18人もの生徒が外部進学したことにあれこれ言うよりも、今回の例をどう教育制度の改善につなげるかを考えることの方がずっと建設的でしょう。
現在は中高一貫がどこもかしも重要だといっては私立を受験する小学生が増えているそうですが、果たして本当にそうなのかを個人的にはもう少し議論してもらいたいです。
コメントを投稿