2008年9月16日火曜日

文化大革命とは~その二、概略~

 のびのびになっていましたが、連載二回目です。

 早速文化大革命についてあれこれ書いていこうと思いますが、前回の記事でも書いたように、この文化大革命は本当に複雑な事件なのです。私も今こうしてウィキペディアの記事を読み返していますが、何度も読んだはずなのになんかいまいちピンとこれずにいます。
 そこで今回は最初の方ということもあり、文化大革命の概略とその流れについて書いてみようと思います。今後の連載でも恐らく読んでいる方は何度もわけがわからなくなると思いますが、そのたびにこの記事を読み返してくれればというつもりで書きます。

 まずこの文化大革命は誰によって起こされたのかというと、それは間違いなく毛沢東です。こんなことを言うと中国では捕まるんじゃないか、という思われる方も多いでしょうが、今じゃちょっとわからなくなりましたがちょっと前だったらニュアンス的には間違っていないんじゃないというように、中国人にもちゃんと受け取ってもらえたと思います。ここで書いておきますが、日本の方は中国人を必ずしも侮らないように。きちんと彼らも隠し様のない事実くらいは理解しております。

 日本の歴史教育だと毛沢東は中華人民共和国が成立して以降、一貫して権力者であったかのように誤解されがちなのですが、実際には彼は一度失脚しています。何故失脚したかというと、農業政策や社会政策などで明らかな失政を犯してしまい、一度鄧小平といった経済政策などに明るい政治家らに引退を迫られ、一旦は政権の中枢から降りています。しかし彼自身は未だ引退する気はさらさらなく、表面上は穏やかに政権の座を譲ったかのように見えましたが、その後自らは隠遁したふりを見せ、未だ政権に残っている自らの腹心を使い徐々に世論を誘導して、「鄧小平らは毛沢東を騙して政権から追い出した」、というような世論を作っていきました。

 以前に大学の授業にて中国政治の先生がこの文化大革命のことを、毛沢東が権力を奪回させるために敢えて社会を混乱させたところ、終いには自分にも手がつけられなくなったと評しましたが、まさに的確な表現でしょう。毛沢東は民衆、特に精神的に純粋な十代の少年少女らを使い、自らを神格化させることによって見事鄧小平を追放し、政権の奪回に成功します。しかし少年少女らを扇動する際に毛沢東は、

「お前たちが正しい。しかし大人は間違っているから、お前たちが修正してやらなければならない」

 といったような言葉で動員し、この言葉を真に受けた若者たちは一切権威を信じず、自ららが組織した団体の決定を強引に推し進め、更には本来それを取り締まる警察や軍隊は毛沢東らの中央政府の命令によって鎮圧ができずに静観するだけという、悪循環な環境を生んでいくことになります。
 この時代について私に中国語を教えてくれた中国人教師の方などは、当時は軍隊が全く機能しておらず、子供だった先生は勝手に基地の中に忍び込んでは手榴弾を取ってきて投げて遊んでいたというくらいですから、その混乱振りがうかがえます。
 このように、ごくごく一般の社会機能がほぼすべて失われ、当時の中国はさながら無政府状態のように、殺人があっても誰も気に留めず、また好き勝手に泥棒や強奪が頻発したらしいです。

 毛沢東も途中からはこうした暴徒と化した若者を押さえにかかり、あの悪名高き農村への下放を推し進めていくのですが、それでも彼の存命中はこの混乱が収まることはありませんでした。
 しかし毛沢東が死んで鄧小平が復権すると、やはり中国の民衆は当時の状態が間違っているということはきちんとわかっていたのか、鄧小平の指示の元に一気に体勢を立て直していくに至りました。

 一説によると、この文化大革命の死者は1000万人を越し、生きていても社会的に大きな打撃を受けた者となると当時の中国人の半数以上とまで言われています。私の日本人の中国語の恩師は60歳を少し過ぎた年齢ですが、先生によると、中国には先生と同じ年代の学者はいないそうです。文化大革命中、少しでも学識のある人間は「知識分子」と呼ばれ、激しい批判や暴力を受けて社会的にほぼすべてが抹殺されたと言われ、ちょうどこの年代に当たる知識人層が何十年も立った今でもすっぽりと抜けているということを知った時、寒気にも似た気持ちを覚えました。

2 件のコメント:

  1.  ウィキペディアで文化大革命を調べてみたのですが、あまりの規模の大きさと非道さ、中国のダメージを知り驚愕の一言につきます。
     とても現代の日本では考えられないことが起こっていたのだなと思います。また、毛沢東が止めようとしてもとめられなかったということは、政策として失敗しているし完全に中国の汚点と言えるでしょう。無政府状態が続いたということは、「ならず者国家」ということですからね。花園さんの中国語の先生は、大変な時代を生き抜いてきたのですね。

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  2.  恐らくウィキペディアのページはどこかの学者の方が書いたものだと思います。専門的な内容が含まれていて私なんかは楽しめるのですが、多分中国に詳しくない人なんかだとちょっと理解しづらいかもしれませんね。

     ただ、これから徐々に書いていくのですが、あながち文化大革命は全く日本と無関係ではありません。同じく極左派の人間などは日本でこの文化大革命時の中国人の行動に大きく類似した行動を取っています。日本としてもいい反省材料と捉え、より深く分析すべき問題のような気がします。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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